キズナ

じゃあベレッタの、見せて・・・



えっ・・・は、恥ずかしいよ・・・



大丈夫だから。ね?



う、うう・・・ちょっとだけだよ・・・?



ん・・・全然綺麗じゃない。恥ずかしがること無いよ



そう、かな・・・? じゃあじゃあ、お姉ちゃんのも見せてよ・・・



だ、ダメだよ・・・私のなんて・・・



私の見せたんだから・・・いいでしょ?



そっ、それは・・・。もう・・・ち、ちょっとだけだからね・・・?



うわぁ・・・すごい、こんな風になってるんだ・・・



あ、あんまりジロジロ見ちゃダメだよ・・・



ねぇ、これはなに・・・?



あっ、さ、触っちゃダメ・・・!














 「ぎにゃあああーーーーーーーーーー!?」
ものすごい悲鳴と共に少女がその場に倒れる
 「だ、大丈夫!?」
 「ふええ・・・ビリビリする・・・」
漫画にしてたとえるならば目がバツ印になっているであろう顔。
 「もう・・・ちょうど通電したところだったからあんなに不用意に触ったら感電するって・・・」
 「えう・・・」
ベレッタ・セグウェイ――今倒れてうる目になっている少女の名前だ。
今日はミッションも何も無く、隣に半ば呆れ顔で立っているフィロウの部屋にて小型のオモチャマシナリーを組み立てていた
ベレッタはボディ部分を、フィロウは中身の回路を、それぞれ担当していた。
 「さぁ、立てる? どこか異常は無い?」
フィロウが手を差し伸べる。
 「う、うん・・・」
その手につかまろうとした瞬間
 「あれ・・・?手が、動かな・・・い・・・」
 「ウソ・・・!?」
指がピクリともしないベレッタを見て、フィロウの顔から一気に血の気が引いた

 * * *

 「君は一体何をしたんだ!?」
 「す、すみません・・・っ」
ガーディアンズ本部にて、謝る事しかできないベレッタ。
あの時感電した影響で指パーツとその付近が損傷し、神経回路の一部が断絶したそうで
指が動かなかったのはそのせいらしい。結局腕パーツの差し替えで事は済んだ。
 「余りにも不注意すぎる。もし身体の中心部まで損傷していたら、取り返しのつかない事になっていたんだぞ?」
 「はい、わかってます・・・」
ひどく落ち込んだ様子で、むしろ半ベソかいているようにも見える
 「まぁ・・・今後、気をつけるように」
泣き出してしまいそうなベレッタを見て少しやり過ぎたと思ったのか、それだけ言うとその場を後にした。
彼女もまた無言のまま、重い足取りで本部から出ていった

ベレッタはいつの間にか、フィロウの部屋の前に来ていた
 「お姉ちゃん・・・いる?」
少しの間があった後、目の前にある扉がスーッと開く
 「ベレッタ・・・どうしたの?」
 「あ、えっと・・・」
 「とりあえず、中入って。話はそれから」
 「う、うん・・・」
次の言葉を探している間に、ほんの一瞬のやり取りだった。

二人は部屋のベッドに腰掛ける。
 「それで、どうかしたの?」
フィロウが問う。

しばしの沈黙の後

 「・・・怒って、ないの?」
 「な、なにをいきなりそんなこと・・・」
ベレッタの突然な問いに、フィロウも少し驚いてしまう
 「だって・・・私の不注意でこんな事になって・・・お姉ちゃんも本部の人に怒られたんでしょ・・・? だから、怒ってるのかなって・・・。
  ゴメンね。私のせいで、迷惑ばっかりかけて・・・」
両手のこぶしを握り締め、怯えたような声で話すベレッタ。
一方のフィロウはそこから更に少しの間があってから
 「やっぱり私、ガーディアンズ失格なのかな・・・」
 「え・・・っ?」
 「自分の命を預ける、大切な大切なパートナーをこんなに落ち込ませちゃってるんだもの
  私の方が謝らなきゃいけないよ。本当にゴメン、負担ばかりかけちゃって。
  これ以上パートナーを苦しめない為にも、ガーディアンズから身を引いた方がいいのかな・・・」
虚空を見つめ、かすかな笑いを含んだ顔――フィロウのその言葉を聞いたベレッタは、一瞬それを理解するのに時間があったが
突然血相を変え、フィロウにすがりつく様にしてその服をぎゅうと掴み
 「やだ! いやだよ! 辞めちゃダメ!
  落ち込んでなんかいないから! 負担になんてなってないから! 苦しくなんかないから!
  だからお願いだよ・・・いなくならないで・・・」
 「・・・クス、ふふふっ」
今にも泣き出しそうなその顔を見て、フィロウはしがみつくベレッタを優しくなでる
 「冗談。ベレッタが私の事をどれだけ思ってくれてるのか確かめたくて。ちょっとイジワルしちゃった」
そう微笑みかけるフィロウを見て、ベレッタは心もち顔を赤くして
 「や、やっぱり恥ずかしいから泣くー!」
 「え・・・ちょ、ちょっとそれは意味がわからな・・・」
 「ふええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
驚くフィロウを気にも留めず、声を上げて泣き出すのだった。

それは、嬉し泣きを隠すためだったのかもしれない――


おわり

あとがき
 これで持ちキャラ4人全部書いた事になりました・・・よね?
 コレで全員ひいき無しって事でひとつ(笑
 前半だけ見てやましい事を考えたあなたは負け組です(´ω`)

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