Intrige Schwert プロローグ

ああ・・・またひとつ、またひとつ銀色の鎧をまとったモノが倒れていく

目の前に広がる赤い色

その赤い色は、ただの赤ではない

それは激しく燃え上がる炎の赤でもあり

多くの者が力尽き、倒れていった場所に広がる鮮血でもあった

そう、これは"戦争"

人間が、己の欲望の為に罪無き人々を殺し合いの場に連れ去ってしまう

血で血を洗う、赤い戦争

その戦場に、私は今立っている

私は何故ここに立っているの?

私はどうして戦っているの?

私は・・・私は・・・

・・・あれ?

"私"は一体誰なの?



自分が自分を見失ってしまう、戦争

自らを自己嫌悪と自我崩壊に追い込む、戦争

自分の利益や欲望のために他人を排除する、戦争

それをある人は"悪"と呼び、ある人は"正義"と呼ぶ

私はなんと答えるだろう・・・

 「お前にとって"戦争"とは"悪"か、"正義"か?」

誰だかわからない、声がする

何故だろう、その問いに私はこうはっきりと即答した

 「"戦争"は"正義"も"悪"も最初から決まってはいません。
  勝った者が"正義"となり、負けた者が"悪"となる。"正義"になりたかったら、勝てば良いんです」

どうして私はこんな事を言っているのだろう・・・

わからぬままに謎の声がまた響く

 「よくぞ言った。それでこそ・・・」

声を最後まで聞き取れぬまま、周りの赤い景色が一気に白い光に包まれていった


プロローグ完

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