PAST OF PHANTASYプロローグ

パイオニア1・・・本星コーラルの環境破壊から逃避し、新たな地・・・惑星ラグオルへと移民するために作られた超巨大宇宙船
そのパイオニア1の姿は既になく、あるのは巨大なドーム状施設セントラルドーム。
パイオニア1を解体して、その部品で組み立てられた移民における中心施設
物語はこのセントラルドームが完成してから1年後の話・・・

「メーイー!?どこにいるのよー!置いてっちゃうわよー!」
一人のフォニュエールが叫んでいる。エメラルドブルーのショートヘア、青い服を着ている
「あわわわ!待って下さーい!」
メイと呼ばれたレイマールが走ってくる。マリンブルーの髪を束ねていて、黒い軍服を着る
「はぁ・・・はぁ・・・先輩早い・・・です・・・」
「全くだらしないわねー。またはぐれるとこの間みたいにヒルデベアに襲われるわよ?」
「ひい・・・っ!あの時は本当に死ぬかと思いました・・・」
青ざめるメイを見て
「まーったく見つけたと思ったらヒルデベア2匹に囲まれて殴られてたんだから驚いたわよ」
「うぅ・・・それ以上言わないで下さいよぉ・・・あれ以来トラウマなんですから・・・」
「第一そんなチビだから敵に襲われやすいのよ」
「でもブラック先輩・・・逆に背が低い方が敵には見つかりにくいような・・・」
「なーにバカ言ってるのよ、見つからないくらいのチビっていうのは米粒くらいの小ささのやつ・・・メイ後ろ見ちゃダメだよ」
突然ブラックがメイの後ろに回る
「え、え!?どういうことですか!?」
「トラウマなんでしょ?こいつ」
メイが後ろを振り向くとそこにはうなり声を上げる大きな生物・・・ヒルデベア
「いっ・・・いやぁーっ!」
「お、落ち着きなさいよ!倒せばいいのよ倒せば」
青く透き通った杖、グライドディヴァインを手に持つ
「怖いよぉ・・・」
怯えながら青いハンドガン、短銃ミラを構える
「メイは下がってて、こいつくらいアタシ一人でも十分・・・」
そう言ってヒルデベアのほうに向き直り杖に念をこめて
「ギバータ!」
無数の氷の柱がヒルデベアに突き刺さり、倒れる
「ふん、こんなもんよ」
「せ、先輩!まだ来ます!」
今度は4体がブラックを囲むようにして現れる
「ちょっとは賢くなったのかしら?でもね・・・アタシに勝てるわけないでしょ」
また杖に念をこめる、さっきよりも強く
「ラバータ!」
ブラックの周りを強烈な冷気が包み、ヒルデベアたちが倒れていく・・・が
「先輩危ない!後ろにまだ・・・!」
「う、うそ!?そんな・・・きゃあっ!」
ブラックが振り返ろうとする前にベアの強烈な右フックが後頭部に直撃し、その場に倒れる
「先輩!」
メイの叫び声がベアに聞こえたのだろうか、メイのほうに向かって歩いてくる
「う・・・あ・・・やだ・・・こ、来ないで・・・」
へたへたと腰をついて、ぼろぼろ涙をこぼしながら震える手でハンドガンをベアにむける
しかしベアも相当気が立っている。銃を持つ少女の手にまたも強烈な右フック
「ひあっ!?」
持っていた銃が弾き飛ばされ、自身もその場に倒れる
「もう・・・ダメ・・・手に・・・力が・・・」
メイの意識が遠のいていく
「(あぁ・・・私・・・ここで死ぬのかな・・・あれ、人影が見える・・・誰・・・だろう・・・)」
ついにメイも力尽き、意識を失ってしまった

プロローグ完

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