PAST OF PHANTASY1話
「ん・・・んん・・・う・・・あれ・・・?」
「お、意識が戻ったか。大丈夫?」
メイが目を開けるとそこには見知らぬ人が一人、フォーマーだ
赤い短髪、黒い服。背は結構高い方だろうか
「え、えっと・・・エネミーはどこに・・・」
「あぁ、ヒルデブルーかい?俺じゃない他の人が倒していったよ。フォービン・・・そう名乗って消えていった」
「ヒルデブルー・・・?」
聞いたことのない名前に少々困惑するメイ
「知らないの?ヒルデベアの亜種で、希少な原生生物なんだ。
ただしヒルデベアのようにバータ系に弱いわけじゃないからあそこに倒れてる子も
バータ系が効かないのに驚いたかもね」
まだブラックは倒れている
「せ、先輩!」
慌てて駆け寄ろうとするがフォーマーが止める
「待った待った!彼女はまだ動かしちゃ駄目だよ。脳震盪を起こしてるみたいだから安静にしてあげないと」
「そ、そうですか・・・」
安心したような心配するような声で言う
「あ、そうそうこれ。君の武器だよね?大事にしないと」
短銃ミラを渡される
「あ、ありがとうございま・・・いっ!?」
差し出された銃を取ろうと手を自分の肩の位置まで上げた瞬間にメイが悲鳴を上げる
「ど、どうしたんだい?」
「ひ、左手が・・・」
左手を押さえるメイ、手首が腫れ上がっている
「これは骨折してるな・・・ちょっと待ってね・・・レスタ」
ぽうっと白い光がメイの手首を包み込む。光が消えると手首の腫れがひき、痛みが消えていた
「す、すごい・・・先輩でもこうはいかないです・・・どうもありがとうございます」
「いいよいいよ、気にしないで」
「う・・・うー・・・ん・・・」
ブラックが体を起こす
「お、こっちも起きたね」
「先輩!大丈夫ですか!?」
「あーもうちょっと静かにして・・・頭に響く・・・」
「あう・・・すみません・・・」
「バータ系テクニックが効かなくて戸惑っただろう?ヒルデブルーはバータ系が弱点じゃないんだ・・・レスタ」
ブラックの頭にテクニックをかける
「あ・・・ありがと・・・」
「あ、そうそう名前を名乗ってなかったね。俺は真田迅っていうんだ。二人は?」
「メイ。メイ=クライシスです」
「ん、君は?」
真田のほうを見てボーっとしているブラックに声をかける
「え!?あ・・・BLACKCAT・・・みんなはブラックって呼んでる」
「メイとブラックか・・・よろしくな」
「おーい真田!どこ行ってたんだよお前は」
「八神・・・お前がいきなりどっかいくから探してたんじゃないか」
「まあいいや。ところでその二人は?」
「あぁ、ヒルデブルーに襲われて倒れてたんだ。ヒルデブルーはフォービンとかいうヒューキャストが倒していったよ
レイマールのほうがメイ、フォニュエールのほうがブラックだ」
「そうか・・・おっと紹介が遅れたな!俺は八神。八神穹だ」
茶髪で角刈り、黒い服のヒューマーだ
「さて・・・八神、ドームに戻ろう。勝負は終わったんだろ?」
「なんで勝負してたってわかるんだよ・・・」
「お前がいなくなるときは決まってそうだからな、もういい加減覚えたよ。じゃあ二人とも、あんまり無理しないようにな」
真田と八神が去っていく。ブラックはまだぼーっとしている
「おーい、先輩?」
「きゃっ!?い、いきなり何よ!」
「だってずーっと真田って人の方見てぼーっとしてるんですもん。・・・まさか先輩ああいう人タイプですか?」
メイがくすっと笑う
「な、何言ってるのよ!全然そんなんじゃないわよ!」
「ふふっ、いつもの先輩と全然違いますもん♪」
「あーもーうるさーい!」
メイの頭に鉄拳一撃
「いたーい!そんな殴ることないじゃないですか!」
両手で頭を押さえて涙目で訴える
「ふ、ふんっ!アタシを怒らせるからよ!さあ、アタシ達も帰るよ。全く・・・」
ぶつぶつ言いながら早足で歩いていくブラック
「わわわ、待って下さいってばー!」
1話完