PHANTASY FANTASY外伝「友への誓い」

「先生、ここはマシンガンやライフルで1匹ずつ倒すべきなんじゃないですか?」
一人のレイマーがブーマの数匹並んでいる画面を見て言う
「ううん、そこはエネミーの体力もたいしたことないからショットで数を減らした方がいいよ。
 その場面で一番注意しなきゃいけないのは囲まれて反撃を受けること。エネミーの種類や体力で戦闘方法も考えないとね」
先生と呼ばれたレイマールが画面を指差して質問に答える
「せんせー!ソードが重くて持てないです・・・」
涙目でハニュエールが歩いてくる
「あらあら・・・いい?人それぞれ得意な分野、苦手な分野があるの。
 ソードを持ちたい気持ちはわかるけどそこは我慢して得意なことに磨きをかけること。
 私もソード持てるほど力がないからその分スライサーとか、パルチザンを使ってたんだよ」
その子の頭をなでながらこれもハニュエールがなぐさめる
「うん!わかったよせんせー!」
満面の笑みで走っていった

「・・・はい!じゃあ今日はここまで!明日はおまちかねの実地訓練だよー、みんな武器のメンテナンスはしっかりやっておくようにね」
さっきのレイマールが教壇の上でそう言うと20人前後のレンジャーの格好をした人たちが部屋から出ていく
「ふぅー、今日も楽しかったなーっ」
大きく伸びをする
そこにハニュエールが歩いてくる
「お疲れさまー。FINEのクラスは明日実地訓練なんだ?いいなぁ」
「何言ってるのよFLORA、みんなまだ動きが危なっかしくて引率も大変よ・・・」
大きくため息をする
FINEとFLORAの二人はあの事件の後ハンターズを引退。養成学校の教官となっていた
「あ、そういうことなら私明日休みだから出てあげようか?」
「え?でもせっかくの休みじゃない、ゆっくりしたほうがいいよ?」
「いいのいいの!どうせ家にいてもやることないし、久しぶりにFINEの頑張ってる姿も見たいしね」
ニコニコ笑うFLORA
「な、何言ってるのよもう・・・」
ちょっと恥ずかしがる
「あはは。とりあえず帰ろ!今日はあの3人も来るって言ってたよ」
「あ、そうなんだ!じゃあ急いで準備しないと」
「あ、先生!ちょっと待ってくださーい!」
誰かが二人を呼び止める

「おっそいぞー!」
「合鍵もらってたから先にあがらせてもらったよ」
家に入った二人の前には先客が。リンメイ、ファルナ、ジンの3人
待ちくたびれたような顔のリンメイ。ファルナとジンはテーブルに置いてあるみかんを食べている
「ごめーん!生徒が一人私達の出てくるの待ってたみたいで・・・昔話を聞きたいってね」
「昔話ってあの時のこと?」
「ううん、違う違う。私達が養成学校で最終テストを受けた時のことを取材して自由研究の題材にするんだって」
「ふぅん・・・二人とも人気者なんだね〜」
ニヤニヤするリンメイ
「なんでそうなるの!」
二人が同時に言う
「普通自由研究って言ったらフォトン関連の資料をまとめたりとか、チャレンジステージの挑戦記録とかでしょ?
 それをわざわざ学校の教官を取材するなんて随分気に入られてるんじゃないかな?ねぇジン?」
「興味ない。むしろ俺にその話題をふる理由がわからん」
「だってまだ一度も台詞ないじゃん?だからちょっとしゃべらせてあげようと思ったんだけどなぁ」
「フン・・・」
「それにしてもほんっと二人って仲良いよねぇ・・・うらやましいよ」
「そうそう。同居してる位だしね」
「あはは・・・まあ私が居候してるだけなんだけどね」
苦笑いを浮かべるFINE
「さ、さあそんなことより!ご飯作るからちょっと待っててね」

味覚がないとふてくされるリンメイに無理やり食べさせつつ談笑する
食事も終わり色々話をしながらくつろぐ。FLORAは電話の対応に別の部屋へ行ってしまった
「あ、そうそうみんな明日一日時間ないかな?ちょっとお願いしたいことがあるんだけど・・・」
FINEの突然の一言に少々戸惑う3人
「明日なら一日休みだけど?」
「私も時間空けられるよ」
「・・・俺も明日は依頼がない」
「じゃあ・・・明日ルプスの森周辺で実地訓練の引率お願いしたいんだけど・・・いいかな?」
「行きましょう」
「もっちろん!」
「・・・面白い」
「やった!みんなありがとう。必ずお礼はするよ」
「いいよいいよお礼なんて!友達じゃん!」
笑顔でFINEの肩をぽんと叩く
「そうだよね・・・ありがとう。じゃあ明日よろしくね」
話がまとまったところでFLORAがリビングに戻ってくる
「ごめんごめん、学校から明後日一人ハンタークラスに途中入学する子がいるって連絡をもらって
 その子用の簡単なテスト問題を作っておいて欲しいんだって」
「じゃあ明日はダメそう?」
「ううん、全然大丈夫。レベル別のテスト問題を全部作ってあるからそこから数問出せばいいんだ」
「いつも準備いいよねぇ・・・うらやましい」
「そ、そんなことないよ」
少し恥ずかしがる
「あ、そうだ!最近出たゲーム買ってきたんだけどみんなでやらない?」
ごそごそとバックからゲームソフトを取り出すリンメイ
「それってもしかしてファンタシースターシリーズの最新作じゃない?売り切れ必至でどこにも売ってなくて・・・よく見つけたね」
「ふふふ・・・お店というお店を探し回ってやっと見つけたんだから。さ、やろやろ!」
「・・・俺は寝るぞ。ゲームに興味はない」
「えー、ノリわるーい」
リンメイが頬を膨らませる
「フン・・・あまり夢中になりすぎて明日に影響させるんじゃないぞ」
そう言い残しリビングを出る
「ま、まぁあんなのは放っといて!やろう!」

翌日

「先生、何か眠そうですね?」
「あ、気にしないで・・・ちょっと色々あってね」
ジンの予想は大当たり。4人は結局日付がかわるくらいの時間までゲームに夢中になってしまった
「さあ!そんなことより今から実地訓練を始めるよー。まず4人一組を5組作って。そこに私含め5人引率につくからね」
言われるままに5組のチームができる
「うん、じゃあルプスの森周辺への転送装置前に集合ね」

生徒20人が転送装置の前に集まった。FINEら5人も装置の前にいる
「みんな集まった?じゃあこれから私達が引率として入るチームを決めるからちょっと待っててね」
生徒達は唖然とした表情で5人を見ている。それもそのはず
以前総督が起こした暴動を止めた12人の中の5人。知らない人はいないというほど有名人なのだ
「やっぱ先生って凄い人だったんだ・・・」
「こんな人達に引率してもらうなんて感動だぜ」
「一生の思い出になるだろうなぁ」
生徒達がざわめく
「私達も有名人だねー」
くすくす笑うリンメイ
「でも失ったものは大きすぎたよね・・・」
ファルナの一言で一瞬みんなの笑いが消えた
「ま、まあ引率するグループ決めようよ。生徒待たせちゃ悪いし・・・」
「そ、そうだね」

「みんな待たせてごめんね。じゃあ今からグループごとについてくれる人を紹介するよ」
今までざわついていた生徒が静まる
「まずAグループは私。BグループはFLORA、Cグループはファルナ
 Dグループはジン、Eグループはリンメイにお願いすることにしたから、それぞれ引率してくれる人を連れて転送装置に入ってね」
生徒達は各々5人を連れて転送装置に向かう

ラグオルには未だにエネミーが多数出現する地域が残っている。といってもセントラルドームや居住区からはかなり距離があるのだが。
「ここからはグループごとに別れて行動するよー、昨日指示した地点に集合だからね。
 これから先凶暴なエネミーがたくさんいるから注意して進むこと。
 もし自分ではどうしようもできないと思ったら無理しないで引率してる人に任せちゃってね」
「よーし、みんな頑張って!」
「・・・無理はするなよ」
「慌てず冷静に行動してね」
それぞれ別の方へ歩いていく

「あのーファルナさん、後でサインもらってもいいですか?」
ファルナのグループでひとりのレイマールが言う
「え、ボクのでいいの?」
「もちろんです!お願いできませんか?ずっとファンだったんです」
「あ、俺もください!」
「私も是非!」
「自分も欲しいです!」
「いいよ。でもまずはあいつらを倒そうね」
十数メートル離れたところにブーマが5匹
「ブーマなら楽勝です!」
4人がライフルを構える

「フン・・・全員アンドロイドか・・・」
ジンのグループはレイキャストとレイキャシールがふたりずつ
「回復は任せておけ。だから好きな様に戦うんだ」
「了解しました」
「あの、ジンさんはフォースなのにどうしてマシンガンを持ってるんですかぁ?」
「・・・大人の事情だ、それ以上聞くな」
「は、はいぃ・・・」
「サベージウルフを6体確認。全員戦闘準備お願いします」
レイキャストがサベージウルフの方を向く
「さあ、思う存分殺ってこい」

「リンメイさん!またベリッサがどこかに・・・」
「えぇー・・・何処に行っちゃったのよぉ・・・」
リンメイのグループはひとりのやんちゃ娘が度々失踪し悪戦苦闘していた
「もしかしたらラッピー見つけて追いかけて行っちゃったとか・・・前に実地訓練行った時もあいつそんな感じだったし・・・」
「うー・・・仕方ない、手分けして探すわけにもいかないからなぁ・・・」
「うわぁー!誰か助けてー!」
「あの声はベリッサ!」
声のする方を見ると猛スピードで走ってくるひとりのレイマールと巨大な影
「あれは・・・ヒルデベア!?」
影の正体は巨大なエネミー。こちらも猛スピードで追いかけてきている
「みんな下がってて!危ないよ!」
リンメイがサンゲを構える
「うおりゃあぁー!」

「先生ってやっぱり凄いですよね、あんな凄い人達を連れてきちゃうなんて・・・」
「そう?あの4人とは随分昔から友達なんだ。リンメイ達とはVR試験の時に知り合って、それからよく一緒に遊んでたんだよ」
「へぇー、じゃあもう5年以上の付き合いってことですか?」
「そうなるのかな?私自身あんまり覚えてないんだよね・・・」
苦笑いするFINE
「あっ!あそこにいるのは・・・青いラッピー?」
「あら、まだいるのね・・・みんなラッキーだなぁ。あれはアル・ラッピーっていうれっきとしたラッピーの稀少種だよ」
「おぉー!」
生徒達が歓声をあげた瞬間ラッピーがこちらに気付いて逃げ出してしまった
「あー、逃げちゃった・・・」
落胆する生徒達
「彼らはとっても臆病だから、ちょっとした状況の変化も感じとって逃げちゃうの。さあ、もう少し進むよ」

「うわぁ・・・それが伝説のラヴィス=カノンですか?」
「あ、よく知ってるねぇ」
FLORAの持つ紫色のセイバーに興味津々だ
「いつ何処でそれを?」
「うーん・・・パイオニア1に乗っていた私の師匠に当たる人の持ち物だったんだけど
 あの爆発事故の後に居住区を調査していたら落ちてたのよ。その人からはもう連絡が途絶えているから多分・・・」
「つまり師匠さんの遺品・・・ですか・・・」
「そうだね・・・あ、あそこにいるのは・・・人?」
視線の先には人がひとり見える
「誰でしょう・・・ヒューマー?」
近づいてよく見る
「う、嘘でしょ・・・SHIONさん!?」
「おぉ・・・FLORA殿でござるか?懐かしいのぉ」
そこにいたのは紛れもないSHIONの姿だった
「こんなところで何してるんですか!?それにKASTLEさんは?」
「あやつは旅の途中に死んだでござる。封印の大業を成し遂げた後にな・・・。ところでそちらのレンジャー方は?」
「あぁ、私あの後ハンターズ辞めて養成機関の教官やってるんです。今日は実地訓練に来ているんですよ」
「ほぉ・・・お主らも良い先生に巡り会えてよかったでござるな」
生徒達に向かって笑いながら話す
「もう、やめてくださいよ・・・」
「がっはっは!まぁ拙者は依頼の続きでござるからまた後日ゆっくりと話そう」
「わかりました、その時を楽しみにしてますね」
歩いていくSHIONを手を振り見送る
「先生、あの人が最後のミヤマ流後継者という・・・?」
「よく知ってるね。そう、あの人がミヤマ流最後の後継者、紫苑大介・・・凄い人だったんだよ。さあ、集合地点に急ごう」

つづく