PAST OF PHANTASY2話

「パイオニア自警団?」
セントラルドームの放送局から配信された説明会。パイオニア市民全員が利用している放送局で、情報のほぼ全てがここから配信される
当然ブラック達も利用していて、今回の放送内容であるパイオニア自警団についての説明会を視聴している
「なんだかラグオル地下に巨大な地下施設があるそうで、それの調査隊を募集しているみたいなんです」
「なるほどね・・・よし、アタシらも応募するわよ!」
「ええっ!?でも地下には危険なエネミーがいっぱいいるんですよ!?」
「なーにバカなこと言ってるのよ!それを排除するのがアタシらの役目でしょ?ちょうど森の原生生物に飽々してたところよ」
ブラックの目が輝いている
「うう・・・こんなにやる気な先輩はじめて見る・・・」
「よーし、メイ!早速行くわよ!」
「え!?ど、何処にですか?」
「自警団の本部よ!ほらほら早く!」
メイをずるずると引っ張って行く
「あわわわわ、私まだ心の準備がああぁぁぁ・・・」

「へぇー、もう結構希望者が来てるんだ」
本部には参加希望者がすでに数十名集まっている
「あれ?ブラックとメイじゃないか」
どこかで聞いた声が二人の背後から聞こえた
「あ、真田さんと八神さん!」
「えっ?」
二人が振り向くと真田と八神が立っている
「君達も参加するのかい?」
「そうなんです、先輩が今までにないくらいやる気で・・・引っ張られてきちゃいました」
笑いながら話すメイ
「ハンターズはこれが仕事だからね。俺も地下のエネミーが楽しみだよ」
「うう・・・私はまだちょっと不安です・・・」
そんな会話を交わしているうちに数人の男が部屋の奥に置いてある机の前に立ち
「大変長らくお待たせ致しました。パイオニア自警団参加希望者はこちらで手続きを行なって下さい
 自分のギルドカードと、本人照合のためセクションIDのスキャンを行います」
ギルドカードにも個人情報が書かれてはいるがそれでも名前とハンターズIDナンバーくらいだ
そのため名前、出身地等の情報をこと細かに書き込まれているセクションIDを読み取り詳細な個人情報を取得するのだろう
「めんどくさいことするわね・・・」
「仕方ないですよ先輩、ここはおとなしく受けましょう」

手続きは10分程度で終了
「なーんだ、意外と早く終わりましたね。もっと長くかかるかと思いましたよ」
「でもこれでその地下施設とかいうところに入れるのよね・・・あー楽しみだわ・・・!」
「やっぱり先輩いつもと目の色が違うよぉ・・・」

「すみません、ちょっといいですか?」
突然後ろから声をかけられる。見たところハンターズではなさそうだが・・・
「アタシらに何か用?」
ブラックがぶっきらぼうに答える
「もしよければ一つ依頼を頼みたいと思いましてね。地下洞窟に発生しているエネミーの調査なんですが・・・」
「先輩やりましたね!洞窟に行けますよ!」
「と、いいますと・・・?」
「アタシらに任せておきなさいよ。何を調査すればいいの?」
「ありがとうございます。依頼の内容ですが・・・」

「な・・・何なのよここ・・・暑い・・・」
「まさか・・・溶岩流があるなんて・・・あー・・・暑すぎる・・・」
大汗かいてはあはあと息を荒げるブラックとメイ
洞窟エリアには溶岩が流れ、気温は40度を軽く超えている
「あの男アタシらに恨みでもあるのかしら・・・あーホントムカつく・・・」
「ま、まあまあ・・・このエリアはまだ・・・わからないことが多いですし・・・」
エビルシャーク、ポイゾナスリリーが計10匹程度現れる
「でもまぁ・・・新しいエネミーをお目にかかれるんだから別にいいかなぁ・・・」
ニヤリと笑みを浮かべ敵に切り込むブラック
「だから先輩怖いですって・・・」
短銃ミラを構えてついていく
「ラフォイエ!」
炎の爆発が起こり、エビルシャークが吹き飛ばされていく
「先輩まだ残ってます!」
ミラの弾丸がリリーに穴をあける
「ふう・・・どいつもこいつも森にいたやつと大して変わらないじゃない」
「見た目がちょっと怖くなりましたよ・・・」
「そーぉ?別に変わらないと思うけどなぁー。まあ次に進むわよ・・・ってあれ?足が・・・」
二人の足に何か白い糸のようなものが絡み付いていて足がピクリとも動かない
「な、何か後ろに気配を感じるのは私だけでしょうか・・・?」
恐る恐る後ろを向いた二人が見たものは
「な・・・なによ・・・あれ・・・」
「カマ・・・キリ・・・?」
六本の足と二本の大きなカマのようなものから見れば確かにカマキリだ。しかし大きい、二人の背丈の倍近くはある大きさだ
そしてその巨体が今にも襲いかかってきそうなのだ
「やだ・・・やだやだ・・・怖いよ先輩!」
今にも泣き出しそうに震えるメイ
「この体勢じゃテクニックも使えない・・・あーもうムカつく糸ね!」
必死に足を動かそうとするも絡み付いた糸は切れるどころか傷ひとつ付かない
腕を振り上げてメイの方を向くカマキリ
「い、嫌ああぁぁぁ!」
目をつぶって体を丸め悲鳴をあげる
しかし、いつまでたっても来るはずの一撃が来ない
「・・・あ、あれ?」
恐る恐る後ろを確認するとカマキリは倒れていた。その隣にはヒューキャストが立っている
「お嬢ちゃんたち大丈夫か?ここは子供の来るところじゃないぞ」
赤いボディで身長は二人が見上げるくらい高い。肩幅が広くガッシリした体型だ
「だ、誰が子供よ、失礼ね!」
「見た目で判断しないで下さい!」
二人が同時に怒る。確かに見た目は13〜4歳くらいに見えなくもないが、二人はそれが気に入らなかったようだ
「おっと?そいつは悪かったな、わっはっは」
「でも、ここにいるってことはアンタも自警団に参加してるのね」
ブラックの一言にちょっとムッとしたようなそぶりを見せて
「まずひとつ、俺はアンタって名前じゃない。カーン=フュンフっていうれっきとした名前がある
 そしてもうひとつ、俺は自警団発足時からのメンバーだ」
「カーンさんですか・・・あ、えっと・・・その・・・助けていただき・・・ありがとうございます」
少し怯えた顔でメイが恐る恐る言う
「まあ一応助けてくれた訳だし・・・ありがとね」
その言葉を聞いたカーンは
「・・・わっはっは!気にするな!可愛い娘っ子が襲われてりゃ助けないわけいかないだろう!」
「・・・それおちょくってる訳?」
杖をカーンに向けるブラック
「せ、先輩!」
「おいおい物騒だな・・・安心しな、子供に手出すほど落ちぶれちゃいねぇよ」
「だから子供じゃない!」

「あ!そういえば先輩依頼のことすっかり忘れてませんか!?」
「はっ!そういえばそうね・・・でももうこれくらいでいいんじゃない?」
今までに5種類のエネミーの生体サンプルを取得している
「もうちょっと探してみませんか?まだ調べしれてない所もあるかもしれないですし・・・」
「それもそうね・・・それでカーンは何してたのよ?」
不意にカーンの方を向いて話しかける
「俺か?この洞窟自体の調査だ。何やら色々と怪しいらしくてな・・・リコに頼まれちゃやらない訳にはいかないっての」
「じゃあ別行動ですね。カーンさんも気をつけて下さいね」
二人が別の部屋に歩き出す
「お前らもなー」
右手を上げて見送る

2話完

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