PAST OF PHANTASY4話

「ふぇっぐ・・・酷いです・・・」
「アンタが変なこと言うからよ、全く・・・」
メイが頭をおさえて泣いている
あの後メイを捕まえたブラックは頭に思い切り一発。頭に大きなこぶを作ったメイ
「うー・・・まだジンジンする・・・」
「それにしてもよくこんなところまで走ってきたわねぇ・・・もうパイオニアへの転送装置の前じゃない」
「あ、そしたらリューカー使わなくても帰れますね。クライアントにサンプル届けないと」

「おお!本当に助かります、ありがとうございました。報酬のほうは既にギルドのほうに振り込んであるので受け取ってください」
クライアントの男はそう言って歩いていった
「一体いくらかしら・・・あんなに暑いところ走ってきたんだからある程度もらわないと割が合わないわ」
「ま、まあまあ幾らでもいいじゃないですか・・・新しいエネミーも見れたんですし・・・」
二人はギルドカウンターに歩いていく

「はい、ブラックさんとメイさんですね?一人2000メセタの報酬と、アイテムボックス一つが振り込まれていますね」
「おぉ?結構いい額じゃない」
「ん、アイテムボックス・・・?」
「二人ともがんばったんですねぇ、クライアントの方が大喜びしてましたよ。ではこれが報酬です」
2000メセタとアイテムボックスを渡される
「一体なんでしょうか、これ・・・?」
アイテムボックスの中身を確認する二人
「・・・なによこれ」
「わ、わかりません・・・何かの部品・・・?」
中身は何か機械のようなものだった。それ単体では動きそうになく、部品のようだ
「でもなんであの男はアタシらにこんなものを送りつけたのかしら・・・」
「あぁ、そうそう二人とも。その部品みたいなものの使い道だって言ってメッセージをもらってたの忘れちゃった。ごめんね〜」
そう言うとカウンターのお姉さんがメッセージを転送する
内容はこうだ
 この度はありがとうございました
 その部品の使い道ですが、簡単に言うと武器の強化ツールです
 フォトンの圧縮率を上昇させて、一度に放出されるエネルギー量を増加させることによって威力の増加を図ります
 でもその装置は使用条件がすこし特殊で、対応する種類に制限があるんです
 簡単に言うと、ハンドガン系の強化にはハンドガン系強化用のツールが必要で
 セイバー系の強化にはセイバー系専用の強化ツールが必要というわけです
 ちなみにブラックさんにお渡ししたのはロッド系用、メイさんにお渡ししたのはマシンガン系用のものです
 それでは長々と失礼いたしました
 生態遺伝子研究所副主任 クラウン
「・・なるほどねぇ」
「強化ツールですか・・・でも私マシンガンなんて持ってないですよ・・・」
メイの手持ちの武器は短銃ミラ、ウォルスMk−2、パルチザンの3種類
「いつか手に入った時に使えばいいんじゃない?賞味期限があるってわけでもなさそうだし」
「それもそうですね・・・」
「ねぇメイ、ちょっとお腹すかない?どこか食べに行こうよ」
「確かにもうお昼ですしね・・・どこか行きましょうか」
二人はセントラルドームにある商店街へのトランスポーターに乗り込む

「あー美味しかった!」
ブラックが満足げな表情で伸びをする
「確かにこのお店は美味しいですよね。私も気に入っちゃった♪」
「でもさ・・・ちょっと気になるんだけど、昼のクセしてちょっと人通りがなさ過ぎるんじゃない?」
昼間のランチタイムだというのに全く人通りがない
「うーん・・・確かにちょっと変ですね・・・さっきのお店の中には結構人いたんですけどね・・・」
すると突然背後から男が近づいてくる。二人は全く気付いていない
「お二人さん、ちょっと時間いいかな?」
肩を掴む男。いきなりのことで驚く二人
「え、え!?な、なんですか?」
「ちょっと放しなさいよ!いきなり肩つかんで時間はないかってちょっとおかしいんじゃないの?」
手を振り払おうとするブラックだが、相手と対格差がありすぎるために全く歯が立たない
「何だ貴様は?それがこの俺に対する口の聞き方か?」
「アンタのことなんてこれっぽっちも知らないわよ!そんな奴に口の聞き方もくそもな・・・うっ!?」
いきなりブラックのみぞおちに蹴りを入れる。ブラックは1〜2メートル飛ばされてその場で気を失う
「ひ・・・酷い!いきなり何てことするんですか!確かにちょっと口が過ぎたかもしれませんが
 あそこまでやることないと思います!」
「うるさい小娘だ・・・貴様も死にたいのか!?」
いきなりメイを押し倒し首を押さえ込む
「う・・・うぐ・・・ぐぐ・・・」
必死に離れようともがくが全く動かない
「この俺に歯向かった罰だ・・・もがき苦しんで死ねばいい!わはははは!」
「ぅ・・・ぁ・・・」
意識が朦朧としてくる
「ふん・・・意外と持ちこたえるな・・・しかしそろそろ終わりだ!」
「め、メイ・・・待ちな・・・その子をやる前に・・・アタシをやりなよ・・・ここでアタシに逃げられたらアンタもまずいんじゃないの・・・?」
ブラックが意識を取り戻し立ち上がる
「ほう・・・あれを受けてもまだ立ち上がれるか・・・面白い。しかしこいつにも逃げられては困るからな、こうしておけば大丈夫だろう」
既に意識のなくなったメイに手かせと足かせをはめる
「さて・・・覚悟はいいんだな!?」
男が鞭のようなものを持つ
「ふんだ・・・いつでも来なさいよ・・・」

「これはどうだ!」
「くあっ!」
両手に鎖をかけられ、口から血を流し全身あざだらけのブラックになおも鞭を振るい続ける
「ふん・・・貴様なかなか強いな・・・褒めてやろう」
「まだまだこんなものじゃないわよ・・・この程度でやられてたらアタシはとっくの昔に死んでるわ」
既に服は服としての意味がなくなっているほど引き裂かれていて
はだけた素肌のあちこちにはあざや流血がある
「しかし貴様も馬鹿な奴だ・・・こんな小娘のために自分を犠牲にするとはな」
「アンタにはわからないわよ・・・アタシにとってその子がどれだけ大切かなんてね・・・
 さあ・・・もうおしまい?気が済んだならとっととこの鎖外しなさいよ」
「ふん・・・なにをふざけた事を言ってるんだ?貴様の息がなくなるまで終わるわけないだろうが!」
バシイッ!
「うああっ!」
「まだまだ!これからが本気だ!」
ビシイッ!ベシッ!
「くぅっ!あう!」
「まったくいい鳴き声しやがる・・・これだから女はいいんだ!」
ピシャッ!
「いうっ!はぁ・・・はぁ・・・」
「おいおっさん、てめぇ何してんだ?ラグオルの調査もしねぇ一般居住区の人間がいい気になってるんじゃねぇぞ?」
一人の少年が現れる。背はブラックよりすこし高め、金髪で服装はフォーマーだ
「あん?何だ貴様は?この俺に刃向かう気か?」
「その台詞、そのままてめぇにお返ししてやるよ」
男が鞭を振るう1テンポ前に少年が男の頭を蹴り飛ばす。男は何も出来ずにその場に倒れた
「全く雑魚がいい気になって・・・大丈夫か?確かにこっちは居住区への近道だが結構危険な地域だぞ」
鎖を外す少年
「あ・・・あり・・・がと・・・」
安堵感からか、意識を失い少年に寄りかかるようにして倒れる
「お、おいおい・・・随分派手にやられたんだな・・・」

4話完

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