PAST OF PHANTASY7話

「はぁーっ!久しぶりのいい空気!」
「退院おめでとうございます先輩」
入院から1ヶ月。腫れもほぼ完全にひき動いても痛みがないので退院を許可された
「とりあえず真田にお礼言いに行かないとね。結局毎日来てくれてたわけだし・・・」
「そうですね・・・でも真田さんいまどこにいるんでしょう?」
「ここにいるぞ?退院おめでとさん」
不意に後ろから声がした。そしてそこには
「わわっ?真田さん・・・噂をすれば何とやらですね」
「ははは。病室のほうに行ったら誰もいなくてな、病院の人に聞いたらついさっき退院したって言われてね
 まだ近くにいると思って探そうと思ったら案の定こんなところにいるんだもんな」
病院のドアを出たすぐのところで二人は話していたのだ
「あの・・・真田?えっとその・・・ありがとね、いつも来てくれて」
「この間も言ったろう?気にするなって」
またあの時と同じように頭をぽんと叩く
「・・・クスッ」
メイがかすかに笑ってブラックをちょんとつつく
「な、なによ・・・」
むすっとするブラック

「あら、真田君?」
どこからか女性の声がした。3人が声のした方を向く
「あぁゼロさんじゃないですか、どうしたんですこんなところに?」
「草薙を探しにきたのよ・・・あの子またどこか行っちゃったみたいで・・・」
ゼロと呼ばれたのはフォマールだった。水色を基調としたロングスカート、鈴のついた帽子をかぶっている
身長はブラックより頭半分くらい高いだろうか。大人しそうな女性の雰囲気だ
「そういえば八神も今日は見てないな・・・またどこかで対決してるんじゃないですかね?」
「クスッ、そうかもしれないわね・・・それよりも、その二人が例の気になってるって子たち?」
「ええっ!?」
「気になる?」
ゼロがブラックとメイのほうを見る。二人はかなり驚いた表情をする
「ぶっ、ちょっとゼロさんストップ!」
真田が大慌てでゼロの言葉を止めてこそこそ話

「なるほど、そういうことね・・・ふふっ」
「全く勘弁してくださいよ・・・」
ゼロの不敵な笑みにため息をつく真田
「じゃあ私は草薙探しに戻るわね」
「わかりました。俺も見かけたら連絡しますよ」
ゼロは病院の中に入っていった
「さて・・・俺も八神を探すことにするよ。じゃあまた今度な」
真田も走っていった
「・・・気にしてる・・・か・・・」
ブラックがぼそりとつぶやく
「クスッ、先輩よかったですね、意外と脈アリですよ?」
「う、うるさい!そんなんじゃないって言ってるじゃない!」
「えぇー、だって顔真っ赤ですもん♪」
「ほー・・・アンタはそんなに殺されたいと・・・?」
手をポキポキと鳴らしてメイに迫る
「うわわわわ、それはやめてくださぁーい!」
逃げ出すメイ
「問答無用!待ちなさーい!」

ブラックとメイが病院の門から出た時、計ったようにゼロと真田が出てくる
「本当に元気のいい二人ね・・・」
「そうでしょう?だから余計に被るんですよ・・・俺が子供だった時とあの二人が・・・」
「だから気に入ってるの?あの子たちのこと」
「まあそんなところですかね・・・あの二人を見てるとなんだか懐かしいというか・・・」
腕を組む真田
「でもあのブラックって子、真田君のこと好きだと思うわよ?」
「・・・はい?」
「ふふふ・・・心理学をかじったことのある人なら誰でもわかるわ・・・あの子行動がバレバレなんだもの」
くすくすと笑うゼロ
「でもね・・・あの子はまだ葛藤してる。本当に貴方の事を好きになってもいいのか
 貴方に好きだと伝えたら貴方はどういうだろう・・・多分そんなことを考えてると思うわ」
「さすがは心理学のスペシャリスト・・・あの短時間でそこまでわかるんですね」
「でも・・・お似合いだと思うわよ?貴方と彼女」
「あ、あはは・・・」
苦笑いして頭を掻く真田
「さてと・・・勝負してるならじきに戻ってくるでしょうし、真田君近くのお店でお茶でも如何?」
「あ、お供しますよ」
二人も病院を出る

「もう先輩は加減を知らないんですから・・・いたた・・・」
またブラックに殴られた
二人は一度家に戻り、依頼を受けるための準備をしていた
「アンタが変なこと言うからでしょ?自業自得よ」
「あ、あれれ?ミラがない・・・」
メイがあたふたして探し物をしている
「これ?全くちゃんとしまったところ位覚えてなさいよ」
探しもの、短銃ミラを投げ渡す
「あ、ありがとうございます・・・っと、誰かきたみたいですね、見てきます」
チャイムの音がしたのでメイが応対に出る
「誰だった?」
「宅配便だったんですけど・・・私宛にこんなものが」
なにやら大きな箱だ
「開けてみたら?」
「そ、そうですね・・・」
メイが箱を開ける。この御時世に爆弾などを詰めて送りつける輩もそうそういない
箱の中身は短銃ミラに似たハンドガンが一つと、手紙だった
「この時代に紙の手紙とは珍しいですね・・・なになに?
 武器開発研究所のものです。この度「短銃ミラ」を所持しておられるというメイ=クライシス様に
 その銃の対となる「短銃ガルド」を勝手ながらお送りさせていただきました
 それはフォトンレベルで武器同士が反応して「ガルド・ミラ」と呼ばれるマシンガンになります
 誠に勝手なこととは思いますが、失礼致しました
 ・・・って書いてあります」
「つまり、その二つの銃はくっついてマシンガンになるってわけね」
「こんなものもらっちゃっていいんでしょうか・・・?」
「いいのよいいのよ、あっちが勝手に送りつけてきたんだし」
「じゃあ今度の依頼の時に使ってみます♪」
そういったすぐ後にメイの小型PCにメールが入る
「あ、すみませんちょっとメールが・・・あーっ!これ送ってきた武器開発研究所ってところからです!」
メイがPCをブラックに見せる
内容は
 お送りした武器はお気に召されましたでしょうか?
 今回は一つ依頼をお願いしたいと思いメールさせていただきました
 ですが武器開発研究所からの依頼ではなく、一個人としての依頼ですので、報酬のほうはあまり多くは出せません
 依頼の内容ですが、最近ハンターズ登録をした二人の援護をお願いしたいのです
 詳しいことはギルドのほうに伝えてありますので、どうかよろしくお願いします
 武器開発研究所 ミーシャ=クラリス
「護衛ですか・・・」
「いいんじゃない?武器もらった代わりにやれっていうことでしょきっと。アタシも一緒に行ってあげるから」
「え?で、でも報酬はそんなにくれないですよ?それでもいいのなら・・・」
「全然いいわよ。久しぶりに体動かしたいし・・・報酬なら体で払ってもらっても・・・」
メイのほうをじーっと見つめる
「え・・・な、何する気ですか!?」
腕を胸の辺りでバツ印を描くように組む
「くくっ・・・冗談よ冗談、あっははは。さ、そんなことよりギルドにいくわよ」
「あわわ、待ってください先輩ー!」

7話完

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