PAST OF PHANTASY8話

「メイさんね、ちょっと待ってて・・・あった、ミーシャ=クラリスさんからの依頼が一件」
「それですそれです!」
「えーっと、1時間後にセントラルドーム前の広間に来て欲しいって」
「わかりました、ありがとうございます」
メイがギルドカウンターで依頼の確認をしてくる
「どーだった?」
建物の外にはブラックが待っていた
「1時間後にセントラルドーム前の広間に行けばいいそうです」
「あと1時間ね・・・じゃあそれまでどこかぶらぶらしてましょ」

「でも・・・本当にいいんですか?たぶん体動かすっていっても大したことはしない気が・・・」
「あら、アタシがいると邪魔なわけ?」
喫茶店に入った二人はジュースを飲んで時間が経つのをまっていた
「ち、違います違います!たださっきの言葉がちょっと気になって・・・」
「・・・ちょっと期待してたんでしょ?あの時」
クスクスと笑みを浮かべるブラック
「え、ええっ!?そ、そんなことありませんって!うわっ!?」
勢い余ってオレンジジュースの入ったコップを倒してしまう
「うわわわ、どうしよう・・・」
「全くドジなんだからアンタは・・・ちょっとすみませーん、拭くものもらえないですか?」
ウェイターを呼ぶ

「全く恥ずかしいじゃないの・・・服にこぼさなかったからよかったけど
 これから依頼なんだから少しはおとなしくしなさいよね」
「す、すみません・・・」
少々気まずくなってしまったので店から出てきた二人
「まあいいわ。そんなことよりもうそろそろ時間じゃない?セントラルドームの広間だっけ?」
「そうですね、行きましょうか」
この時歩く二人の後ろを密かにつけている人影があったのに気付くことはなかった
「あいつら確か・・・うん・・・そうだよな」

二人が指定された場所につくとそこには既に依頼主であろう人が立っていた
フォニュエールとヒューキャシール。二人ともメイより背が小さく、明らかに子供だ
「あ、メイさんとブラックさんであってるよね?」
フォニュエールの方が二人に話しかける
丸い綿毛がふたつ付いた帽子をかぶり、紫のようなピンクのような長髪。白い服がよく似合う
「わわっ!ロロちゃん言葉遣いは気をつけようよ!」
こちらも見た目は完全に子供のヒューキャシール
青い色を中心としたボディにわずかに見える黄色いラインが夜空に浮かぶ星のようだ
「あ、ということはあなたが今回の依頼主さんかな?」
「アタシらに子供の警護をさせようとしてたのねあの研究員は・・・」
少々不満そうだが言葉には出さない。珍しいことだ
「あ、そうそうあたいはアカロロ。言いにくかったらロロでいいからね」
「えっと・・・私はアテナと言います。ロロちゃんが失礼な事を言うかもしれませんが
 どうかお許しくださいです。悪気があって言ってるわけではないので・・・」
「ちょっとアテナ!変なこと言わないでよー」
「だ、だって変なこと言ってからじゃ遅いもん!」
少々もめる二人
「え、えっと・・・二人とも落ち着いて・・・」
「アタシらなら気にすることないよ?この子もドジばっかするからそーゆーの慣れちゃったわ」
ニヤリと笑みを浮かべてブラックが話す
「ちょ、ちょっとそれってどういうことですか!?」
「うるさいわね!いつものことだから仕方ないでしょ!?」
こちらでももめている
「あ、あのー、落ち着きましょうよ・・・」
「・・・あたいらと大して変わんないわね」
結論。両者とも五十歩百歩だと言うこと

「うう・・・こんなとこでも私はこういう立場なんですか・・・」
いつもの如く頭にキツイ一発をお見舞いされたメイであった
「当たり前じゃない、そういう位置づけだもの」
「意味がわかりません・・・」
4人はセントラルドーム周辺の、原生生物が凶暴化しているエリアにて原生生物の沈静化に当たっていた
沈静化といっても、相手は原因不明の凶暴化を次々に引き起こしていて
原生生物をなだめることはもはや不可能と化し、現在原生生物の排除を許可されている
「でもどうして原生生物たちは凶暴化したんでしょう・・・一体なにが起きているんでしょうね」
アテナの疑問に他の3人が少し考えて
「たぶん食糧の問題とかじゃないと思う・・・なにかもっと大きなものに精神を支配されてる・・・そんな感じがするかな」
「そんなものかしら?アタシはただ単に住処を侵略されたのが気に入らないだけだと思うけど」
「違う違う!お母さんが言ってたんだけど、なんかだーくなんとかがどうの・・・うむむむ!」
アカロロが何かを話そうとした瞬間にアテナが口をふさぐ
「あ、えっと・・・気にしないでください、また変なこと言いそうだったので・・・あははは・・・」
メイとブラックは少々疑問を感じたが、アテナの言葉を信じることにした
「むむむ!うーむむむうむうむむ!」
すると突然目の前にブーマが3匹現れる
「あ、エネミー!」
アテナがアカロロの口をふさいでいた手をようやく離す
「ぶはあっ!もーアテナったらひどいよ!」
「しーらなぁーい♪そんなことより!」
アテナがエネミーのほうをクルリと向く
「てやぁー!」
アテナの持つ武器は青いフォトンを持つセイクリッドダスター
ブーマの攻撃を左側に大きくステップしてかわし、わき腹部分に一撃
「全然効いてるように見えないんだけど・・・」
「そう思うでしょ?この後をよーく見てて」
アテナが後ろにステップして斬られたブーマと間合いを取る
その瞬間今まで何事もなかったかのように襲い掛かってきていたブーマが真っ二つに切り裂かれた
「すごいでしょ?アテナの持ってるセイクリッドダスターは切れ味がよすぎて逆に斬れるまでに少し時間がかかるんだよ」
「うん、すごいのはわかったけど後2匹残ってるわよ?」
「1匹は倒すけど後1匹はよろしく!」
「なんでよ、全部やっちゃいなさい」
「えー、あたいはお姉ちゃん達の力も見たいなぁ」
「むかつく子供ねアンタは・・・フォイエ!」
フォイエを受けたブーマは真っ黒に焦げている
「おぉー、さすがお姉ちゃん♪じゃあたいもおなじテクニック使っちゃお・・・えい!」
アカロロの使う武器はサミットムーン。精神集中力の増加を促しテクニックの威力を引き上げる特殊な杖だ
その杖から放ったフォイエはブーマの頭に当たり、その部分だけ吹き飛んでなくなってしまった
「よーし、今日も調子がいいな♪」
「・・・絶対アンタ達護衛なんて要らないわよ」
ブラックは目が点、メイは唖然としている
そんな二人のすぐ後ろに紫色をしたブーマ、ジゴブーマが現れる
「ふ、二人とも後ろ!」
「あぁ、ジゴブーマでしょ?見えてるわよ。メイよろしく」
「へっ?私ですか?」
「アンタも仕事くらいしなさいよ」
少々慌てながらガルドミラをジゴブーマに向け撃ち込む
まるで蜂の巣のように穴だらけになって消滅するエネミー
「こっちもすごい・・・」
感嘆の声を上げるアカロロとアテナ
「アンタ恐ろしいものもらったわね・・・」
ブラックも驚きを隠せない様子。しかし一番驚いているのは
「え・・・ええ・・・?」
他でもないメイであった。ジゴブーマの血痕を見て呆然としている
「と、とにかくこれでアンタ達が十分やっていけることはわかったし、先に進むわよ」
「おーっ!」
「ちょっと心配だなぁ・・・」
「・・・あ、あわわみんな待ってー!」
こじ開けられた痕跡のある扉の奥へ進んでいく
その先にあるものが何かを知らぬまま・・・

8話完

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