PAST OF PHANTASY10話

敵のど真ん中に飛び込んだブラックは恐るべきスピードでバートルたちに攻撃させる隙を与えない
「アンタらも大して強いってわけじゃないわね・・・!」
左右から一度に攻撃してくるものを一方は蹴り飛ばし、また一方はセイバーでたたき斬る
今度は四方からの攻撃
「ちょっと頭使えばできるじゃないの・・・」
頭上に高くジャンプ。戸惑うバートルたちの一匹に落下する勢いでセイバーを突き刺す
「それなら私もそろそろ本気を出そうかな・・・ロロちゃんお願い!」
「はいはーい。これね」
アカロロがアテナに青い刀身をした双剣を投げ渡す
「これこれ。さぁ・・・いくよ!」
双剣を横に広げてバートルたちの群れの真ん中を走りぬける
走り抜けた後には敵が全員凍りついている
「まだまだここからだよ!」
セイクリッドダスターに持ち替え凍ったバートルの一匹に乱れ斬り
凍っているため切れやすいのか、いとも簡単に切れていく

「もう少し・・・もう少し近づいて・・・」
なにやらアカロロが一匹のバートルに念を送り始めた。すると本当にバートルが近づいてくる
「よし・・・この辺だ。メギド!」
アカロロが待っていたのはメギドの当たる射程距離にバートルが近づいてくることだった
紫色の球体をもろに受けたバートルがその場に沈む
「やったね♪」

「えっと・・・徹甲弾は・・・あった!」
メイがなにやら小さなケースから銃弾を一発取り出す
「これであそこに・・・」
取り出した弾をヤスミノコフ2000Hに装填してバートルたちの群れの脇にある崖の上を見やる
「先輩!アテナ!危ないからちょっと離れて!」
そう叫ぶと崖の上にある巨大な岩を狙って撃つ
弾が岩に当たり砕け散り、そのまま敵の真上に落ちていく
その後轟音とともに砕けた岩の後から次々に別の岩が敵の群れに落ちてきて岩でバートルたちが埋まってしまった
「あ・・・危ないじゃないのよ!誰もそこまで派手にやれとは言ってないわよ・・・」
頭を抱えるブラック
「い、いや・・・私もここまですごいことになるとはわからなくて・・・」
苦笑いしながら銃をしまう
「とりあえず敵は全部倒したみたいですし・・・早く帰りましょう」

4人はその後エネミーたちに遭遇することなく無事にセントラルドームまで帰ってきた
「あー疲れた・・・」
「お二人とも今日はありがとうございました。ギルドカウンターのほうで報酬をもらってくださいね」
「また何かあったらお姉ちゃんたちに頼むことにするよ。ありがとね」
アカロロとアテナの二人は先に帰っていった
「さあ、アタシらも報酬もらって帰るわよ」
「・・・」
メイはなにやら銃を色々いじっている
「ほら、そんなこと家でやりなさいよ!」
肩をぽんと叩く
「ひゃあっ!?ちょ、ちょっと待ってください!弾が詰まっちゃってるみたいで・・・」
「まったく・・・そんな古い銃使ってるからよ」
といっても実弾式の銃としては新しい部類なのだが、それでも50年以上前に生産されたモデルだ
「古いと言われても、それでも手放せませんよ・・・この銃だけは・・・」
銃の弾詰まりを直し、それをを見つめながら話を続ける
「大好きだった姉が使っていた・・・ただそれだけなんですけどね」
「あら、アンタに姉なんていたのね」
「先輩は知らなくて当然ですよ。先輩と出会う数年前に・・・殺されましたから」
銃をしまって歩き出す
「報酬もらって帰りましょう。話はその後で、ということで」

居住区にある自分たちの家に戻った二人
「今日は想像以上に疲れましたね・・・先輩大丈夫でしたか?怪我明けすぐがあんなハードなものになっちゃって・・・」
メイが風呂から上がってくる
「・・・って先輩それはダメー!」
ブラックはいくつかの銃弾が入っているケースを開けてそのひとつを取り出そうとしていた
「な、なによ!見てるだけじゃない」
「今絶対一個とろうとしてました!そこに入ってる弾は手に入れるの大変なんですから・・・」
ケースを取り返すメイ

それからしばし沈黙が続く。先に口を開いたのはメイ
「・・・やっぱり、さっきのこと気になってます?」
「さっきのことって、そのケースのこと?」
「い、いえ・・・その・・・姉のことです」
それからさらに少しの沈黙があった後
「・・・話したくなかったら無理に話さなくていいよ。でも・・・確かに気にはなってる」
「それならお話します。もう、過ぎたことですし・・・」
彼女はゆっくり、少しずつ自分の過去を語り始めた

10話完

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