PAST OF PHANTASY12話

「ここは涼しくていいわね・・・前来た場所とは段違いだわ」
洞窟のさらに奥、かなり深い場所にたどり着いた
自然の洞窟のようだが結構明るい。ところどころ水が沸き、大きな木が生えている
「綺麗なところですね・・・変な生き物さえいなければ・・・」
無論エネミーのことだ。人工的に作られたと見られる大きな扉を開くとその先にエビルシャークが数匹
「エネミー自体の種類は変わらないのね・・・つまんないの」
ブラックが杖をかざすとエビルシャークの真ん中で大きな爆発が起こり、緑色の血痕が残る
「緑色っていうのが気持ち悪いですよね・・・うー・・・」
何処からか飛んできたナノノドラゴがショットガンを受け撃ち落される
次の部屋の扉のセーフティロックが解除されるとそこから一人男が走ってくる
「お、おおこんなところに人がいるなんて!頼む、助けてくれ!」
いきなり走りよってきた男はフォニューム。サングラスをかけ、黄色い服を着ている
「い、いきなりどうしたのよ?」
「それは俺が聞きたいよ!何でいきなり銃弾が目の前をかすめるんだよ!
 それで飛んできた方向を見たらレイキャシールが俺を狙ってたんだ!助けてくれ・・・」
「う、うーんとりあえず話は何とか理解したわよ・・・むっ」
ブラックがいきなりフォニュームを蹴り飛ばす
「な・・・いきなり何するんだよ!」
「それを見てまだそんなことが言えるかしら?」
フォニュームがブラックの指差すほうの壁を見ると壁に穴が開いて紫色の煙が上がっている
「これ・・・即死効果のあるフォトン弾です・・・当たってたら危ないところでした」
メイの壁を見ながらの話でぞっとするフォニューム
すると扉の向こうにレイキャシールがひとり立っている。手にはライフルを持っている
「あ、あいつだ!あいつが俺を狙ってたんだ!」
白と青のボディパーツを身にまとい、背は結構高いほうだろうか。その割に細身に見える
「アンタにどんな恨みがあってコイツを狙ってるのか知らないけどね、ハンターズ同士で戦ったところでなんになるっていうわけ?」
「貴女には一切関係ありません。もしその男の援護をするようなことがあれば貴女も標的になります」
冷たく、機械的に話す
「そんな銃で狙われたところでそれこそ関係ないわね
 アンタこそコイツを狙うならアタシらはアンタを標的にするわよ?」
「仕方ありませんね。標的を新たに二人追加」
そう機械的に答えると銃を持ち替えて撃ち始める
「ちょ、ちょっと!どうしてアイツはハンターズなんか狙ってるわけ?」
「し、知りません!でもとにかく止めないと」
メイが手に持ったのは爆弾が銃の先についているような兵器
「何?それ・・・」
「無反動砲、パンツァーファストって言います。これなら非力な人でも持てるんですよ」
引き金を引くと先端についていた爆弾が撃ちだされ相手の正面で爆発
レイキャシールは吹き飛ばされる
「ダメージ75%オーバー・・・危機回避のため一時退避します・・・」
簡易転送装置、テレパイプを起動して消えていった
「ば、バカ!壊すつもり!?」
「い、いや・・・そんなつもりは・・・」
「た・・・助かった、ありがとう!これ助けてくれたお礼」
そういって手渡したのはメセタ。その額ざっと10万メセタ
「こ、こんなに・・・」
「流石に悪いわよ。アタシら別にそんな目的でやったわけじゃないし・・・」
「いいっていいって!ただその代わり、ここであったことは絶対内緒だからな?その為の口止め料みたいなものさ
 じゃ、俺は急いでるからまたな!」
そう言い残すと走り去っていってしまった
「あ・・・ちょ、ちょっと!変なやつ・・・」

「あの人ってもしかして・・・」
メイが何かを思い出そうとしている
「あ、そうだ!あの人楊家の末っ子さんだ!」
「それってもしかしてあの楊財閥の?」
「そうです!一度姉があの家に盗みの計画を立てていたことがありました
 でも結局異常なまでのガードの固さで諦めたそうです。そのときにあの家のことをくまなく調べたらしくて・・・
 それでその末っ子さんにすごく似てるんです。あの人
 名前は楊七龍。家柄や財力に物を言わせて好き勝手やってる自由人と姉の資料には・・・」
「たしかあの家には7人子供がいてその末っ子以外の6人はみんな権力者だったわね・・・」
「だからこんなお金さらっと出せたんですね・・・」
二人が色々と会話をしていると
「おっす!二人とも何してるの?」
突然後ろから声をかけられ肩を叩かれる
「うわわっ!?あ、草薙さん・・・?」
「登場の仕方がいつもいきなりよね・・・」
「こら草薙!いきなり脅かしたら駄目じゃない。ここはどんな敵が出るかわからないのよ?」
草薙の頭をわしっと掴んだのはフォマール
「大丈夫ですよゼロさん。この二人そこまで敏感じゃなさそうですし」
それを聞いたブラックがいきなり草薙の胸に手を当てる
「な、なに・・・?」
「メギド・・・」
「ひっ!?」
「・・・やられないように少しは頭使いなさいよ?」
胸に当てていた手を下ろす
「う・・・うー・・・」
目に涙を浮かべうなる草薙
「遠まわしにトロいなんていうからよ。まったく・・・」
ブラックがあきれた顔でそっぽを向く
「あ、そうそう二人とも今日は何の調査?」
「今日はこのエリアの全体的な調査できてます」
ゼロの問いにメイが答える
「なら目的も同じね。よかったら一緒に行かない?この子突っ走り過ぎちゃって一人じゃ手に負えないのよ」
「ですって先輩。どうします?」
「アタシはかまわないわよ?前に出る人がいなくて困ってたし」
「なら決まりね。こんな可愛い子と一緒に出来るなんてうれしいわ」
突然ゼロがメイに抱きつく
「わっ!?む、胸触ってますよ!」
「気にしちゃだーめ♪」
そんな二人のやり取りを見ていたブラックと草薙は
「・・・アンタも結構苦労してるのね」
草薙の肩にぽんと手を乗せるブラック
「キミもね・・・」

12話完

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