PAST OF PHANTASY17話

謎の地下機械施設の中を3人の影が走る
「あ、あんなの一体どうやって倒せばいいんですか!」
「俺にもわからん!なんなんだあいつは!」
「わ、また撃ってきたわよ!」
3人が逃げているのは彼らの後ろにいる巨大なロボットエネミー・ギャランゾ
「あのミサイルは俺たちをホーミングしてくるみたいだな・・・これじゃ逃げるしかない」
「ホーミングする・・・ならそれを逆手にとって・・・」
突如ブラックがギャランゾの目の前に立ちはだかる
「な、何してるんだ!危ないぞ!」
「二人は危ないから離れて!ミサイル食らいたくなかったらね!」
ギャランゾは目の前のブラックに向かって数発ミサイルを発射する
それを見たブラックはすかさずギャランゾの後ろに回りこむ
するとミサイルはブラックを狙おうと方向転換するが、その先にいるのはブラックではなくギャランゾ
自分の撃ったミサイルを受けて自爆した
「すごい・・・先輩頭良い!」
「このくらいどうってことないわよ」
真田がブラックに近づいて
「さすがだな。お前がいて助かったよ」
そういってぽんと彼女の頭を叩く。ブラックは顔を赤らめ照れ笑い
「しかし、随分深いところまで来たみたいだな・・・もう随分あたりが暗い」
ロボットエネミーもだんだん凶悪化してきていて、深部に近いとわかる
「でも・・・なんでこんなところにこんな大きな施設があるんでしょうか・・・
 わざわざこんな地下深くなんかに、一体何の目的で・・・」
「どうだろうな・・・まずがしてこれは明らかにコーラルの文明による施設だ
 資材はなんだ・・・パイオニア1の一部かもしれん
 報告によれば今のセントラルドームは予定していた大きさより少し小さいらしいんだ
 だからその余った資材でこんな地下深くに施設を作ったのかもな・・・こりゃ大きな研究施設だ」
そんな話をしながら歩いていくと、なにやら大きな転送装置がある
「なんだこれ・・・何処へつながっているのか」
「行ってみたらわかるんじゃない?危ないようなら戻ればいいわけだし」
「それもそうですね・・・行ってみましょうよ」
そして3人は転送装置に入っていった

転送装置の先は小さな部屋。部屋は円形で周囲には巨大なモニタがいくつもある
「なによここ・・・変なところね」
「それだけじゃない、この部屋には転送装置らしきものが一切無い
 しかもテレパイプの起動範囲外みたいだ・・・こりゃ閉じ込められたみたいだな」
「このコンピュータ・・・自動で動いてます・・・しかも何かの制御プログラムみたいな・・・」
すると突然警報音がして、天井が開いてなにかが降りてくる
赤いボディで、かなり巨大だ
「これは・・・?」
侵入者発見・・・ボル・オプト自己防衛プログラム起動・・・ターゲット3名補足
警報音が鳴り止むとボルオプトが突如3人へ向けてミサイルを発射する
「危ない!」
メイが放たれたミサイルを撃ち落とす。すると今度は3人をレーザー光線のようなものがターゲッティングする
「な、なにこれ・・・」
不意に真田が天井を見ると自分の真上の部分が開いて、赤い槌のようなものが見えた
ボルオプトから何かエネルギーをためるような金きり音がする
「まさか・・・二人とも天井から何か落ちてくるぞ!」
「え!?」
「て、天井!?」
二人が上を見たときには槌が落ちる寸前。それに怯え動きが止まってしまう
「まずい・・・!」
真田が二人を抱え込みそのまま大きく前に飛び込む
3人がさっきまでいたところに赤い大きな槌が落下してくる
「あんまりボーっとしてるとやられるぞ。とりあえず脱出経路を探そう」
ボルオプトはまたミサイルを発射する

「あ、ありました!ここに緊急脱出用装置があるみたいです」
メイがコンピュータを操作して出口と思われる場所を指差す
「でかしたわメイ!ならはやいとこ逃げるわよ」
「で、ですが・・・この装置、二人までが限界みたいなんです・・・三人乗ったら構造上壊れちゃいます」
「そんな・・・じゃあどうするのよ!?」
「俺が残ろう。お前たち二人だけでも助かってくれ」
「だ、ダメよ!何か別の方法が絶対ある・・・」
ここでメイがすうっと大きく息をして
「・・・私が残ります。二人だけでも生きて帰ってください」
「ば、バカな事言うんじゃないわよ!何か他に手段があるはずよ!」
「そんなものあるわけないじゃないですか!これしか道が無いんです!
 二人には絶対生きて帰る義務があります!この・・・暴走した巨大自律思考型ロボットの存在を皆に伝えるんです!
 それに・・・死んでも悔いなんて無いです。お姉ちゃんもきっと・・・あの世で私のこと待っててくれてるはずです
 だから寂しくもありません。先輩と離れ離れになっちゃうのが唯一の心残りですけど・・・
 でも、先輩は強い。先輩ならきっと、いや絶対このラグオルの地で生き残れる
 だから生きて帰ってください。私の分も・・・お願いです」
「そういうわけにはいかない。お前たちは二人で一つ、一心同体だ
 そんな二人を引き離すわけにはいかない、俺が残る」
「真田さん。あなたにも生きて帰らなくてはいけない理由があります
 それは、相方の八神さんや、そのライバルの草薙さん
 草薙さんの相方ゼロさんのためです。真田さんが死んだら八神さんはどうするんですか?
 八神さんがおかしくなっちゃったら草薙さんはどうなるんですか?
 戦う意味を失ったしまった草薙さんをゼロさんはどうするんですか?
 それが理由です。真田さんの死は八神さん、草薙さん、ゼロさんの死を意味するんです
 そうだ、先輩これを・・・」
自分の髪を束ねていたヘアバンドを手渡す
「形見だと思って、持っていてもらえませんか?」
ブラックは静かに彼女の手からヘアバンドを取って自分の腕にはめる
「一つの平和を守るためには、一つの犠牲が必要なんです・・・!
 もう目の前で何も出来ずに人が死んでいくのを見たくない!」
そう言い放つと真田とブラックを突き飛ばし、装置の中に無理やり入れてスタートスイッチを入れる
「これで・・・これでいいんだ・・・お姉ちゃん、おまたせ。今から行くからね・・・」
メイは装置が作動するのを確認するとボルオプトのほうに向き直った

17話完

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