PAST OF PHANTASY21話

ここはどこだろう?

暗い・・・暗くて・・・何も見えない

「・・・目を覚ませ・・・」

誰・・・?誰の声・・・?何を言ってるの・・・?

「・・・いつまで・・・寝てる・・・」

寝てる・・・?目を覚ませ・・・?何のこと・・・

アタシはここにいる・・・この真っ暗な場所にいる・・・

気づいて・・・ないの・・・?

「早く・・・」

誰の声なの・・・?何処から話しているの・・・?

アタシは此処だよ・・・お願い・・・気づいて・・・

「・・・ダメか・・・」

え・・・?どうしたの?アタシは此処だよ・・・!

ヤダ、行かないで・・・見捨てないで・・・!

もうこんな暗いところにいたくないよ・・・見放されたくないよ・・・

「目を覚ませ・・・」

よかった・・・まだそこにいたんだね・・・

まだ見捨てられてない・・・見放されてない・・・

光が・・・光が見える・・・白い、真っ白な光が・・・






「う・・・うーん・・・」
ブラックがすうっと目を開ける。見慣れたいつもの部屋、だが・・・少しいつもと様子が違う
ひとつは、いつも隣にいた・・・何よりも大切なおとぼけ娘がいないこと
そしてもうひとつは、そのおとぼけ娘の代わりに自分の目の前に立っている一人の男性の姿
「やっと起きたか・・・全く、起こすのもひと苦労だよ・・・」
やれやれといった様子でソファに座るその男性は、他でもない真田の姿であった
「あ・・・おはよ・・・んーっ!」
大きく伸びをしながら真田を見る。ちょっと顔が赤いような気がする
「どうしたの?顔、赤いよ・・・?」
「そ、それはお前が・・・み、妙に色っぽい声出すから・・・」
恥ずかしそうに目線を逸らして話す真田がおかしくて思わずくすっと笑ってしまう
「そんなことより・・・ちょっと不可解なことが起こってな・・・」
「何かあったの?」
「さっきまで連絡しあってた八神が突然メールをよこさなくなったんだ。
 それだけならまだいいんだが、どうもこちらから送信しても受信できない場所にいるらしいんだ」
「じゃあ、かなり遠いところにいるってことじゃないの?」
「それなら俺もここまで心配しない。問題なのは八神が残した最後のメッセージなんだ」
そう言ってメールの画面をブラックに見せる

草薙を追いかけてきたら変な場所に出ちまった
何かの遺跡らしいが・・・今まで見たことも無いようなエネミーがうじゃうじゃいる
今二人で応戦中なんだが・・・ちょっとマズイかもしれん

「こ、これって・・・助けを求めてる・・・?」
「そうとってもいいかもしれない。メールの送信地点を調べたらあの機械施設より更に深部らしいんだ
 今ゼロさんをこっちに呼んだ。もうじき来ると思う」
そういい終わるのとほぼ同時にバタンという大きな音がしてゼロが部屋に駆け込んできた
かなり慌ててきたらしく、帽子をかぶってない。肩ではぁはぁと荒い息をしている
「ゼロさん、草薙から何か連絡は?」
首を横に振る
「最後のメッセージは八神君とほぼ同じ時刻、同じ場所よ・・・二人が一緒にいることは間違いないわ」
草薙のメッセージを二人に見せる

ゼロさん助けて・・・変な場所で変な敵が襲ってくる!
八神と一緒にいるんだけど、二人でかなうような相手じゃないよ!

「まずいな・・・あの二人でも苦戦しているってことは・・・生半可な敵じゃない」
「ど、どうするの?」
「どうするもこうするも、助けに行かないわけにいかないだろう」
そういって真田が立ち上がる
「お前はここに残れ。俺とゼロさんだけで何とかする」
「な、何言ってるのよ。アタシも行くわ」
「駄目だ。危険すぎる」
「そんなこと関係ないわ!ハンターズが危険を恐れてどうするのよ」
「うん、この子の言うとおりよ。人数は多いほうがいいわ」
「それはそうですけど・・・仕方ない、行こう」

しかし、この先に待っている変えられようのない運命、結末へのカウントダウンが始まっていることは
今は誰一人として知る由もなかった・・・

この先に待つ・・・「最期」という名の結末を・・・

21話完

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