PAST OF PHANTASY22話

「確かに遺跡みたいなところだな・・・」
「でも、なんか壁がうようよ動いてて気持ち悪い・・・」
壁はまるで意思を持っているかのようにくねくねと動き、床は歩くたびにクチャクチャと音を立てる
「でも、二人はどうしてこんなところに・・・?」
3人の降り立った先は草薙と八神が最後の連絡をしてきた地点の近くだ
少し薄暗い、陰気な感じがしている
「とりあえず、行くしかないな」

3人が大きな部屋に入ると、部屋の奥で数匹のエネミーらしき生物が現れる
エビルシャークの様な形で、黒い色のエネミー
黒い体で、馬のような形をしているものもいる
「気をつけろ・・・あの二人が苦戦したエネミーたちだ。何をしてくるかわからない」
「ラフォイエの一斉掃射よ。ダークブリンガーには効かないけど周りのディメニアンたちには有効だったはず」
「ダークブリンガー?ディメニアン?どうしてエネミーの名前がわかるの?」
「さっきまでリコから断続的にこのエリアの情報が送られてきていたの。彼女もここの調査をしているらしいんだけど・・・」
次第にエネミーとの距離が近くなってくる
「とりあえずラフォイエだったよな・・・」

エネミーが一匹、また一匹と倒れていく
そして最後のディメニアンが倒れ、残ったのはダークブリンガー一匹
「こいつの情報は?」
「何もないわ・・・ただ名前だけが送られてきただけで、どんな攻撃をしてくるかは・・・」
そう話していると突然ブリンガーが突進攻撃をしてくる
3人はバラバラにならず、固まっていたのでその攻撃をもろに受ける
「うわっ!」
真田とゼロが吹き飛ばされる
「あ、あんなのアリ・・・?」
「そりゃなんでもアリでしょーよ・・・ブラック、何処だ?」
二人が辺りを見回すが、彼女の姿は何処にもない
「た、助けて・・・」
不意にブリンガーが走り去っていた方向からか細い声が聞こえた
そこには壁にたたきつけられたのか身動きひとつとれずに座り込むブラックの姿
ブリンガーが右腕の銃のような形をしたものを彼女に突きつけ、その腕の先からは
七色に輝くエネルギー弾が今にも撃ちだされそうなくらいに大きくなっている
「う、うわ・・・ぁ・・・」
その妖しく光る七色の光に体の奥から恐怖を感じ、その場から動けない
そしてブリンガーがその光の塊を打ち出そうとしたその瞬間






「あれ・・・?」




一体何が起こったのかわからない。ただひとつ言えることは自分は無事であること。
そしてブリンガーは真っ二つに斬られ目の前で消えてなくなったこと
「久しぶりだな。あの森でのとき以来だったよな」
「ポルセニ・・・なんで・・・?」
「すまんが、詳しいことを話してる暇はないんだ。色々と立て込んでてな」
そう言ったポルセニはいつもと少し印象が違う。
片目が青い色なのに対し、反対側の目は赤い。そして声が重なっているように聞こえてくる
その二つの声は彼女の記憶する限りではポルセニとクライン
「おっと・・・そうこうしてるうちにきやがったか・・・」
そう言うとポルセニが片手をかざす
すると寸分狂わぬ場所に何者かが鎌のようなもので斬りつけてくる
自らの「気」を壁として実体化させるポルセニの得意技、気空新月
襲いかかってきたヒューキャストの攻撃はその壁にとめられている
「な、立て込んでるだろ?それじゃ生きてたらまた会おうぜ」
ポルセニはその襲いかかってきたヒューキャストを蹴り飛ばし、そのまま去っていった
ヒューキャストはすぐに立ち上がり、それを追いかける

「大丈夫か!?」
ポルセニとヒューキャストが去った後、真田とゼロが走り寄ってくる
「だ、大丈夫・・・」
「ブリンガーが出てきた時は散開して行動しよう。あの突進だけ気をつけていれば何とかなるはずだ」

「ねぇ、ちょっとあれ・・・」
さっきのフロアから少し進んだ先の大きな部屋で、ゼロが何かを指差す
「あれは・・・?」
「もしかしたら、草薙の小型PC・・・」
ゼロがそれを拾い上げ、二人に見せる
それは間違いなくハニュエールクラスのハンターズが装備するタイプの小型端末
「メールのログからしても草薙のものと見て間違いないな・・・」
「草薙・・・ここでいったい何が・・・」
「私、草薙を探しに行くわ!」
そういうといきなり走り出す
「ゼロさん!危険です!」
「これでも私はパイオニア1の中でも3本の指に入るといわれたハンターズよ
 そう簡単にはやられたりしない・・・!二人は八神君をお願い!」
ゼロはそういい残すと二つある通路の片方へ走り去っていった
「お、追いかけなきゃ!」
「待て。ゼロさんの好きなようにさせよう。大丈夫、こんなところで死ぬような人じゃない」
追いかけようとしたブラックを制する
「アタシたちはどうするの?」
「ゼロさんの行かなかったほうの道へ行こう。恐らく八神と草薙はここで離れ離れになったんだと思う」
二人はもう片方の通路へ続く扉の奥へ進んでいった

22話完

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