PHANTASY FANTASY3話

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「・・・夢に私たちが出てきた?」
FINEとACEが全く同じ言葉をシンクロさせてきた
「まあそんなところだ・・・声は全然聞こえなかったんだが背丈や格好、顔からしてまず間違いない」
「んー、不思議なことってあるものなのね・・・私も最近ヘンな夢を見てちょっとまいってるのよ・・・」
FINEがそう言ってため息を漏らす
「ふ〜ん、二人とも大変だね・・・まあそう言ってる私も昨日おかしな夢見たんだけど・・・」
「変な夢?どんな夢だったか覚えてる範囲で教えてもらえないか?俺も二人の出てくる夢は決まっておかしなものでな・・・」
FINEとACEは少し考えて・・・

「んー、そうね・・・私の夢は黒いヒューキャストが同じく黒いフォマールと一緒にいて
その二人が私を追いかけてくる夢だったわね・・・一度目の夢では逃げ切れたんだけど、二度目は捕まって・・・」
「捕まって・・・?」
「縛られて、服を引き剥がされて注射器みたいなのを胸に突き刺されて・・・そこで夢はおしまい」
胸の辺りを押さえながらため息混じりでFINEはそう言った、よほど嫌な夢だったのだろう
「そうか・・・思い出させて悪かったな」
「いいのよ、所詮は夢の中の話、神のお告げでもない限りそんなことは絶対にないわけだし。ちなみにACEのはどんなの?」
話をそらすかのようにACEに聞く
「うーん、私も黒いヒューキャストが出てきたよ、でもそいつは黒いヒューマーっぽい人と一緒で
ヒューキャストの方がどっかいっちゃって、ヒューマーの方が私に刀を向けるのよ・・・」
「刀を向けたってことは・・・戦ったのか?」
「うん・・・向こうが斬りかかってくるから応戦したんだけど、そいつすごく強くて・・・」
「やられたのか?」
「ううん・・・後ろを取られて首を絞められて・・・戻ってきたさっきのヒューキャストに思いっきりお腹を殴られて・・・そこで目が覚めたの」
うつむいてそう話す、かなり怖かったのだろう
「そりゃ怖かっただろうな・・・変なこと聞いて悪いな」
「いいのいいの!現実に起きるはずもないんだし」
「はは・・・そうだよな、そんなこと起きるわけないよな」
まるで自分に言い聞かせているかのようにそう言って
「さーて、みんな準備は済んでるようだし・・・行くか」
3人は転送装置へと足を進めた

ザザーン・・・ザザーン・・・

「うわぁ・・・海はいつ来てもキレイでいいなー、エネミーがいなければ最高なのに・・・」
ACEが愚痴混じりにそう言った
「まあそう言うなって・・・遊びできてるわけじゃないんだし・・・」
「うー、それはそうだけどさぁ・・・」
そんな会話をしながら歩き始める・・・聞こえてくるのは波の音と3人の足音ばかりだ
「エネミーがいないわね・・・気配すら感じないわ・・・」
「いや、気配を消してるだけだ・・・来たぞ・・・背後に3匹エネミーを確認、おそらくディメニアンだ」
3人が後ろを振り向くと、そこにはディメニアンが3匹、RALKの予想通りだ
「よーっし!やっとお出ましね!歩いてるばっかりでちょうど退屈だったところよ!」
ACEが威勢良く敵の中心に走りこんでいく、青いダブルセイバーを持っている
「援護するわ、RALK、敵が弱いからといって補助テクニック出し惜しみしちゃダメよ」
FINEはショット系の武器を持った。黄色いフォトン弾だ、強力な武器という証拠だ
「わかってるって。シフタ、デバンド!念のためにジェルンとザルアもくらっとけ!」
体の周りを赤い光と青い光が包む、テクニックを一通り詠唱したRALKは銀色の剣片手にエネミーにとびかかる
「でやあぁ!ふんっ、おらよっと!」
すばやい身のこなしでディメニアンの攻撃をかわして、右肩に一撃を入れる
よほど切れ味のいい剣なのだろう、一撃でディメニアンの右肩を切り落とした
「ACE!ディメニアンは体を狙うんじゃなくて腕、特に肩をまず狙うんだ!奴ら肩の付け根部分は比較的弱いから切り落とせるぞ!」
「わ、わかった!ここね・・・えーいっ!」
振り下ろしてきた右腕をひらりとかわし、肩の付け根部分めがけてダブルセイバーを振り上げる
振り上げた勢いを利用して切り落とした肩の傷口部分にダブルセイバーを突き刺す
エネミーとの戦闘は数分で終了した。さすがは選ばれたハンターズたち、といったところだろうか
「いやぁ速かったなぁ、これもACEの攻撃力と、FINEの援護のおかげだなぁ」
「RALKもフォースなのによく前衛やるわよね・・・それにその武器は何?見たことないんだけど・・・」
ACEが不思議そうに聞く。FINEは何か考え事でもしているのだろうか、何もしゃべらない
「あぁこれか?んー、なんだろうな・・・俺もよくわからないんだよね・・・親父からもらったものだからさ」
「そっか・・・あ、あれ?FINE、どうしたの?」
考え事をしていた彼女は突然の声に少し驚いて
「え!?あ、いや、さっきのディメニアンがいつもとちょっと違うんじゃないかなぁーって思ったんだよね・・・」

「ふん・・・ようやく気づいたか・・・」
突然どこかから声がした、男性の声だ
「だ、誰!?どこにいるのよ!?」
ACEが声を上げる、すると岩陰から男性の姿が・・・ヒューキャストだろうか
「あの人・・・」
「夢に・・・」
「出てきたぞ・・・」
3人は驚きと、背筋が凍る思いをした。それもそうだ、3人はこのヒューキャストの出てきた夢では嫌な思い出しかないのだから・・・
「一体何をしにきたんだ、お遊びの用事ならこの先に近づかない方がいいぞ・・・
自分の命が惜しければな・・・ふはは」
そう言い残して消えてしまった
しばしの沈黙の後・・・
「本当に・・・いたのか・・・」
RALKがそう切り出した
「で、でもまあ、たまたま同じ型だっただけってこともあるしっ!それにここは洞窟じゃないでしょ?」
ACEが声を大にして言う
「ま、まあ一理あるな。うん、ACEの言うとおりだ、形式がたまたま一緒だっただけだよな」
「そ、そうね・・・きっとそうよね」
「それによ、今回の依頼はただのエネミー討伐だろ?あんな奴かかわらなければいいんだって」
「そうそう!だから大丈夫だって!」
互いが互いを励ましあって、その場は収まった
「さて・・・先は長いぞ、進めるだけ進もうぜ」

3話完

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