PHANTASY FANTASY5話

ザザーン・・・

辺りもずいぶん暗くなってきた。3人は簡易テントを張り、焚き火を燃やし、夕食をとっている
「赤道に近いところの依頼で良かったわね・・・あまり寒くならないから助かったわ」
「そうだな・・・それにしても、食用のエネミーとかいないものかね・・・食料が荷物の大半を占めてるぜ・・・」
愚痴混じりにRALKが言う
「まあ仕方ないよ。まだ調査が完全に終わったわけじゃないし、それにあの化け物みたいなのを食べるのはちょっと・・・」
ACEが苦笑しながら言った、確かに食べられそうではないが・・・
「さて・・・ごちそうさん、俺は先に寝るよ、眠くてしょうがない・・・」
大きなあくびをしてRALKはテントの中に入っていった
「疲れてるんだね・・・やっぱりフォースは大変なんだろうね」
「そ、そうね・・・(飲み物入れたボトル海に落として悪戦苦闘してたなんて私からは言えないわ・・・)
 さあ、そんなことより早く寝たほうがいいわ、色々あって疲れたでしょ?」
「そうだね・・・じゃあ寝る事にするよ、FINEはまだ起きてるの?」
「んー、任務中はあまり眠くならないのよ・・・夜でもエネミーは活動してるから、見張りもかねていつも起きてるの」
エネミーの中には夜行性のものもいくつか確認されており、襲われるケースも数件報告されている
「でも眠くなったら寝た方が良いからね、そのときは言って、私が見張りかわるから」
ニコッと笑ってそう言った
「ありがと、じゃおやすみなさい」
「おやすみなさーい、気をつけてね」
そう言ってACEもテントの中に入った

数時間が経過し・・・

「う、うーん・・・まだ真っ暗・・・昼間寝ちゃったせいかなぁ」
ACEが目をこすりながら起きる。まだ朝になるまで3〜4時間ほどある
「うーん、寝なおそうにも眠れないなぁ・・・」
と、テントから外を見ようと窓になっている部分から外をのぞく・・・
FINEが倒木に腰掛けて焚き火の薪をくべていた
「(まだ起きてるんだ・・・ホントに眠くないのかなぁ・・・)」
と、FINEの背後から人影らしきものがひとつ・・・彼女は全く気づいていない
FINEが危険だと感じたACEがすかさずテントの中から
「FINE後ろー!」
「え?うしろ、むぐっ!?む・・・ぅ・・・」
FINEが振り返ろうとした瞬間に何者かが彼女の口にハンカチのようなものを押さえつけ
数秒後、ぐったりとその人影に倒れこむ
ACEがテントから飛び出して
「誰!?見てたわよ!FINEに何したの!?」
「フッ・・・見つかっちまってたか・・・」
ぐったりとしたFINEを抱きかかえた男が一人、フォーマーだろうか
「彼女を返して!何をするつもりなの!?」
「返せといわれて返すなら何もこんな事はしない・・・何をするつもりかって?お前が知ってどうするんだ・・・」
フォーマーが冷笑を浮かべてそう言った
「それなら、力づくでも奪い返すまでよ!」
ダブルセイバーを構える
「フッ・・・そんなもので何が出来るというんだ・・・グランツ!」
光の最上級テクニック、グランツを放ってきた!ACEをまぶしいほどの光が包み、爆発を起こす
「きゃああっ!」
今までに受けた事のないほどの衝撃を受けて、気絶してしまった
「さすがはBELの姉貴が作ったテクニックディスクといったところか・・・ククク・・・」
フォーマーはFINEを抱きかかえたまま、闇に消えていった

「一体なんだ・・・騒々しい・・・むっ!?どうしたんだ!?おい!」
RALKが気づいたころにはFINEもあのフォーマーも姿を消していた
ダブルセイバーを持ったまま倒れているACEを抱き起こす
「う、ううーん・・・」
「一体何があったんだ!?それとFINEはどこだ」
RALKが辺りを見回すが、RALKとACEの二人以外人影ひとつない
ACEが飛び起きて、辺りを見回して
「あ、あぁ・・・ど、どうしよう・・・FINEが・・・連れ去られちゃった・・・」
今にも泣きそうな顔でそう言った
「つ、連れ去られただと・・・と、とりあえず落ち着こう、話はそれからだ」
「こんなときに落ち着いてなんかいられないよ!早くあいつを追いかけないと!まだ間に合うかもしれな・・・あっ!?」
走り出そうとしたACEの腕をRALKがつかんだ
「まず落ち着け、お前が気を失ってからどのくらい経ってるのかもわからないし、
 それにその連れ去った奴の情報も何もないのにただ闇雲に追いかけようとしたら時間だけが過ぎる」
「う、うう・・・私がもう少し早く気づいてたら・・・」
自分のせいだと思ったのか、泣き出してしまった
「泣くな泣くな、泣いてちゃFINEは見つからないぞ、な?」
ACEの両腕をつかみ、あわてた顔でそう言った
「う、うん・・・わかった、もう泣かない」
「よし、じゃあまずは連れ去っていった奴の特徴とか、出来るだけ詳しく状況も教えてくれ」
「えっとそいつはフォーマーの服で、色とか顔は暗くてよくわからなかったよ・・・
 そいつはFINEの背後から近づいてきて、いきなりハンカチみたいな布で口を押さえつけて・・・
 そのまま何秒かしたらFINEが倒れて・・・」
「睡眠薬か・・・特殊な薬品だな・・・しかしなぜ連れ去ったんだ・・・」
「ね、ねえちょっとこれ見て!私のズボンのところに入ってたんだけど・・・私こんなもの入れた覚えないよ・・・」
そういって紙のようなものを見せてきた、地図だろうか・・・赤いしるしがしてある
「ずいぶんご親切な誘拐犯だな・・・恐らくここにいると見て間違いないな。むっ、なんだこれは・・・手紙?」
「え?ほんとだ手紙だ・・・えっと・・・この女を返してほしいのならば赤い印のついたところに来い・・・
 追伸、怒った顔も可愛いぜ、勇敢なハニュエールさん・・・って、なによこれ・・・むかつくわねぇ」
「つまり、俺たちへの挑戦状ってとこか・・・よし、早くテント片付けていくぞ。何されてるかわからんからな・・・」
「あ、あのさ・・・FINEは・・・生きてるよね?死んでたりなんてしないよね・・・」
「何を意味わかんないこと言ってんだよ、死んでるわけないだろ?今から助けに行くのに死んでてもらっちゃ困るぜ」
「そ、そうだよね(絶対助けてあげるからね・・・お姉ちゃん・・・)」
「よし、行こう」

5話完

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