PHANTASY FANTASY7話

「制御塔を見つけたメンバー?」
RALKとACEが不思議な顔でそう言った
「そう・・・私は今までヒューマーの父とフォマールの母、そして彼女と一緒にラグオルを独自調査していたの
 私をハンターズに育ててくれたのもお父さんだったわ・・・
 彼女との出会いはハンターズになるための最終実技試験のとき、
 二人ペアでVRシステムの一部をクリアするものだったの
 そのペアを組むとき真っ先に声をかけてくれたのが彼女だった・・・
 お父さんのたたき上げでハンターズ学校にも行かなくて、友達が誰一人いなかった私にそれはもう真っ先に」
「そうだったのか・・・じゃあ本当に仲がよかったんだろうな」
「私もその気持ちわかる・・・飛び級ばっかりで友達作る前に次の学年に上がってたから・・・
 最終実技試験もそれが理由で一人で受けることを特別に認めてもらったくらいだから・・・」
「彼女はハンターズ学校の通信課程に入ってたらしくて、病気の母親の看病をしながらハンターズの勉強をしてたそうなの
 そのお母さんは1年後亡くなっちゃったらしいけどね・・・お父さんは寿命で早くに亡くなっちゃったって言ってたわ」
「ニューマンは寿命がばらばらという話を聞いたことがある・・・早い人だと20代で亡くなってしまう人もいるとか・・・」
「彼女はずっと孤独だったのよ・・・当時孤独ということを知らなかった私にいろんな話をしてくれたわ・・・」
FINEが懐かしそうに上を向く
「実技試験以来彼女は私たちと行動を共にするようになったの・・・初めてエネミーを倒したとき、
 ヒルデベアの亜種と遭遇して、大苦戦しながら倒したとき・・・常に私の隣には彼女がいたわ
 VRシステムをトップ通過したのも私たち4人だったわ」
「お前を含め、相当の実力者たちだったんだな」
「VRシステムは私も8位通過だったけど、トップ通過は私がクリアする数週間前だった気がする・・・
 ものすごい速さでクリアしたんだね・・・」
感心した顔で二人がそう言った
「そしてガルダバル島の調査にはいって・・・制御塔を見つけた・・・あれが悪夢の始まりだったわ・・・」

急に顔が曇る
「あそこの敵は異常なほどに強かった・・・6階くらいまで昇ったころにはもうみんなヘトヘト
 それでもパイオニアに戻ろうって言う人は誰一人いなかった、あそこで戻ってればあんなことにはならなかったのに・・・」
泣き出しそうな顔で話を続ける
「不意に現れたギブルスが彼女に殴りかかってきて、それをかわしたときに足を踏み外して・・・
 落ちたのよ、制御塔の6階から・・・お父さんとお母さんはその後立て続けに出てきたイルギルに
 非常用転送装置もろとも・・・切り刻まれて・・・今でもあの光景は目に焼きついてる・・・忌まわしいあの記憶・・・」
震えるFINEの両肩をRALKががっしりと掴む、ACEはもらい泣きしそうになっている
「孤独・・・俺もいつも一人でいるから孤独な人間なんだって勝手に思っていたが、
 俺の孤独なんて全然甘いんだな・・・さぞ辛かっただろう」
そう言ってFINEを優しく抱き寄せる、安心感からか彼女はRALKにしがみついて泣き出した
それは今までの数年間ずっと耐えてきた孤独感、悲しみを一気に吐き出しているようだった

と、その時だった
「おやおや、女を泣かせるとはひでえ奴もいたもんだな」
不意に扉のほうから男の声がした。RALKとACEがとっさに反応する
FINEはRALKが突然動いたのでびっくりしてRALKの見ている方向を見る
黒い服を着た男が・・・ヒューマーだろうか。刀を差している
「な、なによ!余計なお世話よ!」
「さっきまで大泣きしてたのに、元気なことだ・・・」
男は冷笑する
「まあいいだろう、今はお前等を始末しろとの命令だ・・・悪いがおしゃべりはここまでだ」
そういって刀を抜く、今まで見たこともないような綺麗な輝きを放つ刀だ
「二人とも、ここは私が食い止めるからそのFLORAって子を追いかけて」
ACEが二人の前に立つ
「し、しかし相手はかなりの実力者だぞ・・・あの刀は持つ者を選ぶからな・・・」
「任せておいてよ、私だってやろうと思えばあんなやつ・・・」
ダブルセイバーを構える
「私が相手よ!」
「ほう・・・ツインブランドか・・・面白い。魔法剣士の力見せてもらおうか」
ハニュエールは直接攻撃だけでなくテクニックも使える万能タイプで、魔法剣士とも呼ばれる
「わかった、任せたぞ」
RALKはFINEを連れて扉の向こうに消えていく

二人がにらみ合う
「そっちがこないのなら行かせてもらうわ!シフタ!デバンド!ジェルン!ザルア!」
攻撃力、防御力の補助テクニックを詠唱する
「ククッ、さすがは魔法剣士・・・だが、その威勢もそこまでだ!」
ヒューマーがこちらに向かって走り出す、ACEは迎撃の構えにはいった
「そこっ!」
ACEが剣を振る、しかしそこにはすでに誰もいない
「な・・・!ど、どこに・・・うっ!?」
いつ後ろを取ったのか、あっという間にヒューマーがACEの首を絞めている
「なかなかいい動きをしていたが・・・少し我流過ぎるな、誰かの下について剣の技を教わったほうがいいかも知れん」
「は、放して・・・ぐうっ・・・」
すると扉が突然開いて、黒いヒューキャストが出てきた
「どうだ、終わったか?」
「兄貴ですか、一人はこれですが、後の二人は逃げ足が速く・・・」
「まあいい、そいつは私の手で制裁を下すとしよう・・・ふんっ!」
「うぐっ!!(これじゃ・・・あの時と・・・おな・・・じ・・・)」
ヒューキャストが思い切りACEの腹を殴る、すさまじい衝撃と痛みで気を失いその場に力なく倒れる
「・・・死にましたかね?」
「いや、気絶して倒れただけだ。牢屋に入れておけ、なかなか見込みのあるやつだ(あのパンチを食らって死なないとは・・・)」
そう言ってヒューキャストが部屋から出て行く、ヒューマーはACEを抱えてどこかに行ってしまった

7話完

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