PHANTASY FANTASY8話

あの時・・・そう・・・あの夢と同じ・・・あの続き・・・は・・・実は・・・

大丈夫!?目を覚まして!ねえ!

だ、誰・・・?この声・・・おかあ・・・さん・・・違う・・・こんな声じゃない・・・
でも・・・なんだろう・・・なんか・・・暖かい・・・

「ん、んん・・・」
「あ!やっと目が覚めたんだね」
「う・・・げほっ、ごほっ!ごふっ」
目覚めたACEがいきなり咳き込んで吐血する、隣から声がする
「だ、大丈夫!?どこか痛いところとかない?」
「う・・・げほっ・・・お、お腹が・・・さっき殴られて・・・」
「待って、内臓が破裂してるかもしれない・・・動かないでじっとして」
顔をあげる力も出ないほど痛むので誰だかわからないが従う
すると声の主がお腹の辺りにそっと手をあてて
「レスタ!」
みるみるうちに痛みが治まっていく、数秒後には全く痛みが消えていた
「あ、ありがとう助かったよ・・・でもなんで見ず知らずの私にそんな・・・」
「そんなの決まってるじゃん!仲間だからだよ!」
元気な子だ、格好からしてフォニュエールだろうか。ショートヘアーに帽子をかぶっている
「仲間・・・」
「アナタもブラックブラッドにつかまったんでしょ?私も人を探しにここに入ったら罠に引っかかっちゃって・・・」
手を頭の後ろに回して笑いながら言う
「人を探しに?私も仲間がさらわれちゃって助け出したのはいいんだけど今度は私がこれじゃ仕方ないわね・・・」
二人が笑う
「えへへ、なんか私たちって似てるね。あ、私はyukiっていうの、よろしくね!」
そう言って握手を求める
「私はACEっていうの、よろしくね」
がっちりと握手する
「そうだ!これ、私のギルドカード。もらっておいて〜」
そういってACEにギルドカードを渡す
「ギルド・・・カード・・・」
もらったカードをまじまじと見つめながらなにやら考え事をしている
「どうしたの?変なこと書いてあった?」
「え!?あ、違う違うちょっとボーっとしちゃって・・・はい、私のカードもあげる」
苦笑いを浮かべながらカードを渡すACE

「でも・・・どうやったら出られるんだろう、ここ・・・」
yukiが辺りを見回しながらそう言った、たしかに鉄格子に囲まれていてそう簡単には抜け出すことはできなさそうだ
「んー、私の武器じゃ壊せそうなものじゃないなぁ・・・」
ACEが鉄格子を触りながら言う
「うー、誰かが助けに来るのを待つしかないのかなぁ」
yukiがへたりと座り込む、ACEも座る
「はぁー、こんなことになるならお兄ちゃんなんてほっとけばよかったよ・・・」
ため息混じりにyukiがうつむいてそう言う
「探しにきたのはお兄さんなの?」
「うん、フォーマーでRALKって言うんだけど・・・お兄ちゃんったら何も言わないで家突然出て行っちゃうんだもん
 そりゃ心配しちゃうよ・・・はぁ〜ぁ」
yukiがRALKの名前を言ったことにかなり驚いた顔をするACE
「ど、どうしたの?何か私変なこと言った?」
「い、いや・・・そのRALKって人とさっきまで一緒に行動してたのよ」
「えぇーっ!?じ、じゃあさらわれたってのはまさかお兄ちゃんのこと!?」
yukiがACEの顔の目の前に迫ってそういった
「ち、違う違う、もう一人レイマールの人がいて、さらわれたのはそっち」
手で彼女を押さえながらそう言った
「そっか・・・じゃあお兄ちゃんはそのレイマールの人と一緒?」
「そうなるかな・・・多分まだこの洞窟の中にいるはず・・・」
「ならシンプルメールで呼び出してみるよ、お兄ちゃん任務になるとメールだけ見て返信してこないから
 本当に届いてるかどうかがわからないのが心配だけど・・・」
そう言ってメールを打つ
「よし!送信完了!後は気付くのを待つだけだね」

一方RALKとFINEは・・・

「地図があるとはいえかなり複雑な構造だな・・・こりゃ普通にきてたら迷ってたな」
「ごめん・・・私がドジったばっかりにこんなことになっちゃって・・・」
「気にするなって、お前だけが原因って訳じゃない
 っと、ちょっと待ってくれ、メールだ・・・って、な、なんであいつ・・・」
突然RALKの表情が一変する
「どうしたの?血相変えて・・・」
「俺の義妹がこの中にいて、ACEと一緒に牢屋らしきものの中に閉じ込められているらしい」
「え!?じゃあ早く助けに行かないと!座標点は?」
メールの送信履歴から相手がメールを送信した場所を座標にして割り出すことができる
「今検索してる・・・出た!この地点だ」
そう言ってRALKが地図の真ん中少し右下を指差す、現在位置からおおよそ500メートルほどだろうか
「そんなに遠くじゃなくてよかったわね・・・すぐに行きましょ」
二人が走り出したその時だった
「むっ、見たところお主らブラックブラッドのものではないな?」
後ろから突然声をかけられ二人が驚いて振り向く
ヒューマーだ、茶色の服を着て侍のような格好をしている。刀を3本差している
「だからどうした、お前に関係のあることか」
RALKが強い口調で言い放った
「そう熱くなるな、拙者もブラックブラッドのものではない、一般のハンターズでござる」
「SHIONさん探しましたよ・・・単独行動は危険です・・・この方たちは?見たところBBの者ではなさそうですが」
迷彩柄のレイキャストがSHIONと呼ばれたそのヒューマーに走りよってきた
「おぉKASTLEでござるか、彼らはついさっきお見かけしてな」
「(悪い人ではなさそうね・・・)」
「(そうだな・・・)」
FINEとRALKがひそひそと話す
「まだ名を名乗っていなかったでござるな、拙者はSHIONと申す。このレイキャストはKASTLEでござる」
「俺はRALKって言います、彼女はFINEです」
「お二人はこんなところでいったい何を?」
FINEが聞く
「うむ、総督府の依頼でエネミー討伐をしていたら伝説の4刀の最後の一本、アギトを持つ者が
 このブラックブラッドにいるという情報を聞いてな、それを奪還にきたのでござる」
「SHIONさんが3代目豪刀ゾークを襲名したのはご存知ですよね?
 サンゲ、ヤシャ、カムイを継承したんですが、この刀をアギトと共に永遠に封印しようとしているのです」
「そういうことでござる、この刀は世に出てはいけないのでござるよ」
右手にヤシャ、左手にカムイを持っている。二刀流使いだ
「あぁ、あの豪刀ゾークの・・・なるほど」
「ねぇRALK、そのアギトを持ってるってやつ、もしかしてさっきの・・・」
FINEが横から服を掴んで話しかけてきた
「むっ、アギトを持つものをご存知でござるか!?情報が少なくて困っているのでござる
 どんな些細なことでもいいから教えていただきたい」
「えっと私たちはもう一人仲間がいたんですけど、突然出てきた刀を持った黒い服を着たヒューマーと
 勝負したみたいなんですけど、やられて牢屋に閉じ込められてるとさっき連絡が・・・」
いい終わるか終わらないかの間にSHIONが声を上げる
「そいつでござる!どこで戦ったでござるか!?そのやられた方はどこに!?」
「お、落ち着いてください・・・まずは状況をお話していただいてから・・・」
KASTLEが興奮しているSHIONを何とかして止めようとしている
「とりあえずその牢屋に行きましょう、その間に状況はお話します」
そう言ってRALKが歩き出す

8話完

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