PHANTASY FANTASY9話

「なるほどでござる、FINE殿が拉致されてしまいその助けに来たと」
「BBは恐らく制御塔の研究データを狙っていますね・・・FINEさんは制御塔から唯一生還したとされていますから」
KASTLEが制御塔の話をした途端にFINEの表情が曇る
さすがにそれを察知して
「ま、まあBBの奴らも単独であそこに行こうとは思ってないあたり、賢いとは思いますけどね・・・
 それで、牢屋というのはいったいどこに・・・」
話をそらすかのようにRALKに話しかける
「地図と座標からしてこの扉の向こうなんだが・・・堅そうな扉だ、ロックもかかってる・・・」
RALKが扉に手をやってそう言う
「そういうことならお任せください。皆さん、私より後ろに下がって」
3人はKASTLEの後ろに下がる、ランチャーを装備している、かなり大きい大砲のようなものだ
「発射します・・・!」
ドゴオォォォンという爆音とともに扉がひしゃげる
セーフティロックが破壊されたようだ、ひしゃげたせいもあり半分くらいしか扉が開かないが
それだけ開けば4人が中に入るのは容易だった
「む、いた!あそこだ」
RALKが指差した先に二人の女性が立っている。ACEとyukiだ
「ふ、二人とも・・・来てくれたんだね!そこの扉に鍵かかかってるわ、こちら側からじゃ外せないみたいで・・・」
ACEが鉄格子の中から手を伸ばして鍵穴を指差す
「わかった、ちょっと待ってろ・・・よっし、開いたぞ」
ギイィという音がして扉が開いた
「もう、遅いぞお兄ちゃん!メールして30分も経ってるぞ!」
yukiがそう言い終わるか終わらないかのうちにRALKが彼女の頭をぽかりと殴る
「遅いじゃないぞ・・・なんでお前がここにいるんだ!ここ一ヶ月は依頼がないから家にずっといるって言ったじゃないか」
「いったぁーい・・・そんなこと言ったっていきなり家出てっちゃったら誰でも心配するよ・・・」
両手で頭を押さえ涙目になってそう言う
「失礼だが、お主らはどんな関係でござるか?」
一通り部屋を見て回って帰ってきたSHIONが言う
「あぁ、俺らは兄妹ですよ。このちっこいのが妹です」
「ちっこい言うなーっ!これでも結構気にしてるんだから!あ、ちょっと私トイレー」
そう言ってyukiがどこかに行ってしまう。

そこでSHIONが話しかけてきた
「ヒューマンが兄でニューマンが妹ということはなかろう・・・現在はヒューマンとニューマンとの結婚は認められていない
 ましてや子供なんぞ作ったとしたら法律でとんでもない目にあうでござろう・・・」
「いや、彼女元は孤児だったんですよ。パイオニア1で親父が旅立つ前に、俺にも妹か弟がほしいだろうって
 孤児院から引き取ったんです。そのときあいつはまだ生まれて数ヶ月だったんで
 恐らくそのときの記憶はまったくないですから、あいつは俺を本当の兄だと思ってますよ
 俺もあいつは本当の妹だと思ってますけどね・・・
 元気があるのはいいんですけど、ドジでおっちょこちょいなもんでね
 まあそこが可愛いってのもありますけど」
「ニューマン特有の寿命の関係ですか・・・そうやって孤児になってしまう子はたくさん見られますね
 いいお兄さんに巡り合えて彼女も幸せでしょう」
「そうだといいんだけど・・・あ、そういうことだからこの話はあいつには内緒な?
 結構敏感なやつでさ、そういうの聞くとすごい悲しそうな顔するんだよ・・・
 兄としてそれは耐え切れないんだ・・・だから、頼むなみんな
 人一倍元気なあいつの悲しそうな顔はもう見たくないんだ・・・」
ガラにもなくRALKが暗くなる。

そこでyukiが走ってきた
「ごめんごめん遅くなっちゃった〜。ところでさ、みんなこの後はどうするの?」
「拙者はこの洞窟に残るでござる、例のアギト使いを倒さねばならぬ」
「アギト使いって・・・私が戦ったあいつのことなのかな?黒い服着たヒューマーの・・・」
ACEが言い終わらないうちにSHIONが彼女の両肩をわしづかみにして
「そいつでござる!どこで戦ったとか、どこにいるとかわからないでござるか!?
 些細なことでもいいでござる、是非教えていただきたい!」
「きゃっ!ま、待ってください!お、落ち着いて」
いきなり掴まれて大声を出されたらそれは誰もが驚くはずだ
ACEもまた同じ、なんとかSHIONを落ち着かせようとする
「た、戦ったって言ってもすぐやられちゃったし・・・それにその後気を失ったから
 どこにいったかなんてわからないよ・・・」
「そうでござるか・・・仕方ない、なんとか自力で探すしかないでござるか・・・」
「俺達もここに残るんだよな?アイツを探しに」
RALKがFINEに向かってそう話しかける
「みんながそれでいいって言うなら探しに行きたいけど・・・」
「いいに決まってるじゃん!探しに行こうよ!」
「親友なんだろ?探しに行こうぜ」
「つまりみんなここに残るの?じゃあ私も残る。助けられて恩返しのひとつもしないで帰るのはヤダよ」
結局洞窟から出たいというものは誰もいなかった
「6人でまとまって行動するのは敵に発見されやすく危険ですね・・・
 ここは3:3に分かれましょう。yukiさんが私たちの方に来ればちょうどいいです」
「それもそうだな・・・よし、yuki行ってこい。何かあったら連絡できるし、ちょうどいいな」
「まかせて!じゃあお互い何かあったら連絡しあっていこうね」
そう言ってSHION、KASTLE、yukiの3人は歩いていった
「よし、俺達もいこう。何か胸騒ぎがするんだ・・・俺の予想が正しければ、こりゃとんでもないことになる・・・」

洞窟の奥深く・・・モニタのようなものが映っている部屋でヒューキャストとヒューマーが
モニタを見ながら話をしている
「ほう・・・まだやろうというのか、つくづく面白いやつらだ」
「兄貴・・・俺はあのSHIONとかいう奴を叩きに行きます。伝説の4刀が目の前まで来てるんです」
「ふむ・・・お前はこれまで長いこと尽くしてくれたからな・・・いいだろう、好きにしろ
 ただし、お前は軍の指揮官であることを忘れるな。命だけは守ることだ」
「ありがとうございます、きっと成功させてやります」
そう言ってヒューマーのほうが部屋から出て行く
「あとはあの3人か・・・奴らならもしくは・・・フン、面白くなりそうだ。BEL、そこにいるんだろう、こそこそしないで出てきたらどうだ」
ヒューキャストがそう言うと部屋の陰からフォマールが出てくる
「さすがねZEET。その気配を察知する能力はどこからくるんだい」
「知ったことか、それよりこの3人組・・・もしかしたら使えるかもしれん」
「FLORAの記憶のことかい?確かにあいつらならできるかもしれないね。試してみるかい?」
「そうだな・・・やってみる価値はないとも言えん、アレは持たせてあるな?」
「もちろん。記憶が戻り次第起動させるよ」
「一気に事が進むかも知れんな・・・よし、FLORAをエリアCに移動させるんだ」

9話完

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