PHANTASY FANTASY10話
「んー、地図をコピーしてもらったのはいいけどどこがどの部屋なのかがわからないなぁ・・・」
yukiが地図をじーっと見ながらため息をつく
「そうですね・・・でも無いよりはましですよ」
「それはそうだけどさぁ・・・ほんっと不親切なやつらよね、これ作った奴」
3人が広い部屋に出たそのとき、突然部屋の扉がすべて閉まり、ロックがかかってしまった
「え!?え!?な、なんで!どうしたの!?」
少々パニックを起こすyuki
するとテレポータのようなものが目の前に出現し、中から人が出てくる・・・ヒューマーだ
「あんまり騒ぐとほかの連中もここに集まってきちまうぞ、折角俺一人できてやってるのに」
「お主がFREEDでござるな?悪いことは言わぬ、そのアギトを持たぬほうがよい
その刀は危険でござる」
「フン・・・知ったことか、俺は力を手に入れるためこうしているんだ
危険だのなんだの言ってるようじゃ力は手にはいらねぇ」
アギトを構えるFREED、SHIONはあきらめたかのように刀を抜く
「そういうことなら仕方ないでござる・・・いざ、勝負でござる!二人は下がっててほしいでござる」
SHIONの勢いに負け二人が下がる
「こうしておけばあの二人に手は出せないだろう・・・」
そう言ってFREEDが指を鳴らす。するとyukiとKASTLEの上から檻のようなものが落ちてきた
「きゃっ!なにこれぇ!」
「大人しくそこにいろ、お前らの命までは狙いはしねえよ」
「そういう問題じゃないわよー!」
「この檻は・・・フォトン反射機能を持っているみたいですね・・・
これじゃ私の銃も、yukiさんのテクニックも檻の中に反射して私たちがダメージを受けますね」
しばしの沈黙が続き
「ふむ・・・わずかながらミヤマ流の動きを汲んでおるな・・・しかし、まだ隙が見えるでござるよ・・・!」
その言葉とともにSHIONが走り出す、FREEDが刀を構える腕に力を込める
「動いてきたな!それを待っていたんだ!いけえぇぇ!」
FREEDが渾身の力を込めてアギトを振る、すると衝撃波がSHIONに向かって飛んできた
「むっ!こんなもの拙者に通用すると思ったでござるか!?」
両手に持った刀を顔の前にクロスさせて衝撃波を受け止める。いや、受け流すといったほうがいいかもしれない
その衝撃波が檻の方に、KASTLEに向かって飛んでくる
「わわっ、あぶない」
KASTLEがかろうじて衝撃波をよける。しかし檻自体が狭いため、よけたときに体がyukiにぶつかる
体格差が大きいためyukiが飛ばされて思い切り頭を檻にぶつける
「痛いッ!もう!狭いんだからあんまり大きく動かないでよ!いたたたた・・・」
ぶつけた頭を押さえる
「す、すみません・・・」
「まるで漫才でござるな・・・」
SHIONがそう言って後ろを見た瞬間
「もらったぁ!」
FREEDが大声一番斬りかかる。しかし左手に持つカムイで刀を止める
「本当に勝ったと思ったでござるか?まだまだでござるよ」
「ちっ!まああれしきの事でやられるようじゃ豪刀ゾークは名乗れねえな」
そう言って後ろに飛んで間合いをとる
「ならば・・・」
構えが上段から下段に変わる
「これはどうかな!?」
アギトを振り回し、衝撃波を乱れ撃ちする。SHIONはさっきと同じように刀をクロスさせガードする
「その攻撃は効かぬ!無駄に体力を消耗するだけでござるよ」
「はぁ・・・はぁ・・・それはどうかな?刀をよくみなよ」
SHIONが刀を見ると、大きく刃こぼれしている
「こ、これは・・・拙者は少しお主を見くびっていたようでござるな」
ヤシャとカムイをさやに収め、サンゲを抜く
「勝負はこれからでござるよ」
「ようやくサンゲを抜いたな・・・面白くなってきたぜ!」
FREEDが衝撃波を放つ、しかしサンゲのひと振りでかき消されてしまった
「なるほど、さすがはミヤマ流といったところか・・・しかし、その流派にひとつだけ弱点があるということを知ってるかな?」
「弱点!?ミヤマ流にそんなものはないでござるよ!」
SHIONが走り出し、右斜め下から振り上げるようにして斬りつける。
だがFREEDは斬る場所がわかっているかのように刀の柄でいとも簡単に太刀を止めた
「ミヤマ流はその完璧過ぎる刀の振りでどんな敵も一刀両断してしまう力を持つがその反面
振りがすべて同じ軌道を描く傾向にあるんだよ。だから俺はミヤマを辞め、我流を目指したんだ。
俺も昔ある人からミヤマを学んだ事があってな、良いところ悪いところすべて知ってる」
「だからミヤマの動きに似ていたのでござるね・・・しかし、お主の負けでござる」
いつの間にかFREEDの首元に収めてあったはずのカムイがつきつけられている
「脇差はその軽さゆえこういう使われ方もあるでござる」
「・・・フッ、俺の負けだな。わかった、アギトは渡す。だから命だけは見逃してもらえないだろうか」
目を閉じ、悔しそうに床にアギトを突き刺す
「なにも命までとろうとは思ってないでござる。拙者は拙者の使命を全うするだけでござる」
「使命か・・・」
「さあ、檻を外してどこへなりと行くでござる。またいつかお手合わせしたいものでござるな」
「そうだな、俺ももっと修行して出直してくるぜ」
そう言って指を鳴らすと檻が上がった
「はぁ〜狭かった・・・今度はもっと大きいやつ作っておいてよね!」
「そういう問題じゃないですよ・・・」
「ほぇ?あ、そっか」
yukiの天然ぶりにみんなが笑う
「FREED殿、またあお・・・いないでござるか」
そこにはFREEDの姿はなかった
「こっちは一件落着かな?さぁてお兄ちゃんたちはどうしてるかなぁ・・・」
「(ミヤマ流に弱点・・・振りが同じ・・・なんだか勝ったのに負けたような気分でござる・・・
それにあの衝撃波・・・拙者もまだ修行が足りないでござるな・・・)」
「お〜い!どうしたの?そんな刀見つめて考え込んで・・・」
「あ、いや、何でもないでござるよ」
あわてて返事をするSHION
「ふぅん・・・でも、なんであの人と戦いたがってたの?その刀が欲しかったから?」
「否、拙者はこの四刀を封印するためにこのアギトを探していたのでござるよ」
「封印しちゃうの?すごい刀なのに・・・」
「確かにこの刀はものすごい力を持っているでござる。しかし、これらは妖刀でな
刀を作った者、これに斬られて死んだ者の怒りや憎しみがこもっているのでござるよ・・・
ゆえに生半可な者が持つと刀に魂を囚われてしまうのでござる
先ほど戦った彼はそういうことはなかったようで安心したでござるよ」
「でも封印しちゃったら自分の武器はどうするの?見たところそれしか持ってないみたいだし・・・」
「心配御無用。KASTLEアレを出してほしいでござるよ」
「了解しました」
そう言ってKASTLEが出したのはこれまた刀のようなものだ
刀特有の青白い綺麗な輝きを放っている
「この刀は拙者が自分で作ったものでござる。拙者は剣技のほかに刀鍛冶の技も心得てるでござるよ」
確かに見事な刀だ。四刀とひけをとらないほど綺麗な輝きだ
「遥か昔、一万年以上前に村雨と呼ばれるすばらしい刀が存在したでござる
その名刀村雨をモチーフにして作ったのでござる」
「村雨・・・あのフォトンでできた刀じゃなくて?」
「それは村雨のデザインに似せただけの贋作でござる
本物は鋼と呼ばれる強力な鉄でできていたらしく、それは素晴らしい切れ味だったと聞くでござるよ」
刀を鞘に収めながら力説する
「さて、ひとまずRALK殿のもとへ行くでござる、座標点を確認してもらえぬか?」
「まかせて!えーっと・・・あ、あった、ここだよ!」
yukiの指した場所は広い部屋のようなところらしい。yukiたちがいるところとは結構離れた場所にいるようだ
「結構距離がありますね・・・」
「仕方ないよ、いこっ!」
3人は歩き出した
10話完