PHANTASY FANTASY12話

「さらわれた時も・・・今も・・・何もできなかった・・・ただただ泣いてただけ・・・」
FINEの流した血を指ですくう
「こんなに血を流して・・・絶対痛かったよね・・・それでも親友を救おうとした・・・私にはわからないよ・・・
 親友って何?親友ってこんな痛い思いをしなくちゃいけないの?
 こんな痛い思いをしてまで親友っていてほしいものなの?わからない、わからないよ・・・」
両手で頭を強く押さえている
「それに・・・なんで人同士が戦っているの?争っているの?対立しあっているの?
 どうして人が人を傷つけているの?人が人を差別するの?
 たとえ理由があるって言っても、人が人を・・・仲間を傷つける理由なんて本当にあるものなの!?
 なんで・・・どうして・・・私にはわからない・・・」
長くとがった耳がひくついている
そこでRALKが後ろから彼女の両肩をそっと掴む
「ひゃっ・・・?」
いきなり掴まれて少し驚いたようだ

「争う理由なんてないんだよ、みんな本当は仲良く平和にやりたいと思ってる
 でもな、人には誰しも裏の心ってものがある
 誰よりも強くありたい、誰よりも権力が欲しい、ナンバー1になりたいんだよ
 そのために争ってるんだ。ナンバー1というつまらん肩書きのためだけにな・・・」
「ナンバー1・・・」
「そう、ただそれだけのためにだ。ただそれだけに血を流し、命を奪い奪われるんだ」
ACEが振り返ってこっちを見る
「それだけのため・・・それだけのために戦いたくなんてない!その戦いのせいでお父さんとお母さんは死んだのに・・・
 戦うため、戦うための兵器のために海底で研究を行って、そして私の前からいなくなった・・・」
「だがな、戦いは避けられない。相手が攻撃してくる以上俺たちは何もしないわけにはいかないんだ
 それにな・・・今は戦う理由があるんじゃないのか?あの血の張本人のために・・・」
「それが・・・戦う理由・・・」
「そういうことにすればいいじゃないか、戦う理由なんてそんなものさ・・・」
二人の顔が近づいて・・・そっと唇が重なる
「んっ、んんっ・・・はっ、はぁっ・・・」
突然の出来事に少々戸惑っていたようだ
「だ、ダメだよ・・・種族が違う同士・・・だもん・・・」
顔を赤らめて下を向く
「それも差別とは思わないか・・・?好きな人を好きでいられないのは・・・」
「えっ・・・?い、今なんて・・・」
そういい終わるか終わらないかのうちにRALKは歩き出した
「さぁ、もう敵は近いぞ。アイツのためにも頑張ろうぜ」
「あ・・・う、うん!」
二人は次の部屋へと向かった

ゴウン・・・

扉が開いたその先には、何もない大部屋があるだけだった
「なんだここは・・・ただっぴろいだけの部屋か・・・?」
すると突然、ワープポイントが4つほど出現してヒューキャシール、レイキャシール、レイマー、フォニュエールが出てきた
いずれも黒ずくめで、いかにも悪者です、といった風貌だ
「あんた達・・・ちょっと深入りしすぎちゃってるのよねぇ・・・」
フォニュエールが言う
「ということなので、ここでお二人には消えてもらいまーす♪」
レイキャシールが明るい口調で恐ろしいことを言う
「・・・用意はいいか?用意するだけの時間はくれてやる」
レイマーが言う、わかる人にはわかるが、結構な実力者のようだ
「準備?そんなのいらん、いつでもかかってこい」
RALKがそう返す
「じゃあ・・・始めようか・・・!」
ヒューキャシールが突撃してくる
「い、いくらなんでも4対2じゃ勝ち目なんて無いよ!」
「だからといって戦わない以外に方法はあるか?さっき言ったろ、戦う理由なんてそんな事だと」
剣を持ち、敵のダガーを弾き返すRALK
「ほう・・・それが噂に聞くラムダージャンか・・・」
レイマーがその剣を見て言った
「ラムダージャン?この剣の名前か?」
「自分の剣の名を知らないとは・・・倒すのにそう時間はかからないな」
レイマーが青い大きなマシンガンを持つ
「ガルドミラか・・・」
相手は何も言わず攻撃してくる

「く、くそ・・・明らかに劣勢だな・・・」
敵のフォニュエールが補助テクニックを詠唱する
「ジェルン、ザルア」
「そんなもん・・・シフタ!デバンド!」
しかし効力がない
「な・・・どういうことだ・・・」
「正規のテクニックなんか意味ないもんねーだ。アタシらの力にひれ伏すのよ!」
レイキャシールとレイマーがランチャーを持っている
「これでおしまいです♪」
「あの世で大人しくしてるんだな」
同時にランチャーを撃ってくる、威力的に一撃で致命傷になる・・・!
「万事休す・・・かな」
と、その時
「気空新月!」
何処からか声がして、目の前に壁ができランチャーの爆風を遮る
「いよぅ、久しぶり」
そこには金色の短髪でヘアバンドをしたフォーマーが立っている
「ポルセニじゃないか!なんでここに・・・」
「さあ?なんとなくここ来たらお前達がピンチっぽかったから。まあ、そんなこと話してる場合じゃないんじゃない?」
アギトを持つポルセニ
「一人だけ倒してもいいかな?他は任せるから」
「むしろ全滅まで手伝ってくれよ・・・」
「いやーちょっと急ぎの用事があってね、最後までは無理かな」
そう言うか言わないかのうちにレイキャシールの首元にアギトをつきつけていた
「どうする?武装解除して警察局に出頭するか、抵抗して死ぬか」
ポルセニが軽く笑う
「ひいっ・・・し、出頭しまぁす・・・」
その笑いがよほど恐ろしく見えたのだろう、へたへたと座り込んでしまった
「そういう事だから。俺はこいつ連れてパイオニアに戻るから後は頑張ってな、また会おうぜ」
そう言い残して消えていった
「また借りが出来たな・・・」
「と、とにかく一人は減ったね。少しは楽になるかなぁ・・・」

「な、なによさっきの奴・・・まあいいわ、補助全開でいくから頼んだわよ!」
フォニュエールが補助テクニックを詠唱する
「あれは普通のディスクじゃないな。30レベルのテクニックをはるかに超えてる・・・」
ヒューキャシールがダガーからセイバーにもちかえる
「私からいかせてもらおうかしら・・・!」
ものすごい速さでセイバーを振りかざす、ACEも防御するのが精一杯なほど
「は、速い!どうすれば・・・あっ!?」
体が全く動かなくなる、フリーズトラップだ
「・・・!(声も出せない!このままじゃ・・・!)」
「まずい・・・アンティ!」
氷が溶けていくが
「(溶けきるまで間に合わない・・・!)」
セイバーが目の前まで迫ってくる
ガキィ!
「まったく・・・ちょっと目を放したスキにこれなんだから」
茶髪を後頭部の両側でまとめた髪型のハニュエールがパルチザンでセイバーを受け止めていた
「ミズキ先輩!?どうしてこんな所に?」
「どうしてもこうしてもないよ、まずは敵を倒してから。話はその後」
そう言って敵の方に向き直り
「さぁ、これで3対3。数的にはちょうどいいでしょ?」

戦闘が再開される

12話完

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