PHANTASY FANTASY17話
む・・・ここは・・・あれ?本星コーラル・・・?
「お父さん!僕学校卒業したよー!」
7歳くらいの男の子が父親らしき人に走り寄る
こいつは・・・昔の俺か・・・?いや、しかし何故・・・
「おおそうか!良かったな!これでお前もハンターズだな、がんばるんだぞ!」
「うん!僕これからお父さんの研究のお手伝いするんだ!」
「お、嬉しいなぁ。じゃあ頑張ろうな」
二人はどこかへ歩いていってしまった
懐かしいな・・・親父もまだ全然若い・・・俺もこんな可愛い時期があったんだな・・・
そして突然目の前の風景が変わる
「父さん・・・本当にパイオニア1に乗っちゃうの?」
13歳くらいの少年がさっきの父親と話している
「ああ・・・向こうで仕事できるっていうのは名誉なことなんだ・・・
わざわざお偉いさん方に頼まれてしまったんだ、行かないわけにはいかないだろう?」
「でも・・・次の船が出るのがいつになるかわからないのに・・・
そんな長い間離れ離れになっちゃうんだよ!?俺はそんなの嫌だ・・・」
泣き出す少年に父親が剣のようなものを手渡す
「これは・・・?」
「大事にするんだぞ・・・なーに、心配はいらない。すぐまた会える!そう信じてお互い頑張ろうじゃないか」
そういってパイオニア1の搭乗ゲートへ歩いていく父親
親父・・・これが俺が最後に見た親父の姿・・・
「おっと、言い忘れるところだった」
不意に父親が振り返って
「母さんと、ユキを頼んだぞ・・・これからはお前が父さんの代わりなんだからな」
「・・・わかった。俺、絶対に二人に悲しい思いはさせない
そして・・・また父さんと会うときには一人前のフォースになったって胸を張って言えるようになるよ」
「それでこそ父さんの息子だ!じゃあな、また会う日まで・・・」
親父・・・ごめんな・・・俺約束破っちまったよ・・・母さんにはずっと寂しい思いをさせちまったし
ユキには・・・ん?
また視界が変わる
こんどは・・・パイオニア2か?これって俗にいう幽体離脱じゃないの・・・?
そう思うのも無理はない、そこに広がっている光景は「今」のパイオニア2の病院なのだから
目の前にはyukiの病室がある
ちょうどいい、ちょっと覗いていくか・・・
ドアを開けるとyukiがベッドの上にちょこんと座って悲しそうな顔で窓の外を眺めている
ふと、こちらに気付くyuki
「あれ・・・?お兄ちゃん、どうしてここに・・・」
「ん、見えるのか?俺が・・・(幽体離脱ってわけでもないんだな・・・じゃ一体どういうことだ・・・俺は洞窟の中にいたはず・・・)」
「お兄ちゃん・・・う、うえーんっ!」
突然しがみついて大声で泣きじゃくる
「お、おいどうしたんだいきなり?」
「お母さんも、お兄ちゃんもいない・・・寂しかった・・・怖かった・・・お母さんが生きてた時は
お兄ちゃんがいなくてもお母さんの病院にいれば寂しくなかったけど
そのお母さんはもう・・・」
また泣き出す
「そうだったのか・・・」
「お願い!何でも、何でもするから!ずっと・・・ずっと一緒にいて・・・お願い・・・だから・・・」
さっきよりもずっと強く抱きついてくる
「そうか・・・本当に何でもするな?」
「うん、何でもするから!」
「じゃあ・・・もう泣くな。いつもの笑顔でずっといてくれたらそれでいいから、な?」
まだ泣いている彼女の頭をなでる
「俺はさ・・・お前のその悲しそうな顔を見るとやりきれない気持ちでいっぱいになるんだよ・・・
俺な、お前がまだ小さかったころに親父と約束したんだ。お袋とお前には絶対に悲しい思いをさせない・・・ってな
だからお前に泣かれる度にあの時のことを思い出すんだ・・・」
「お父さんと・・・?」
「そう。だからもう泣くな?それに・・・お前の笑顔は見てて元気が出るんだよ」
「えへへ、ありがと・・・」
yukiの顔に笑顔が戻る
「そうそう、その顔その顔・・・」
「・・・はっ!」
「あ、起きた?随分疲れてたんだねぇ、熟睡してたじゃない」
目の前にはミズキがいる
「んー、やっぱ夢だったか・・・」
5人はちょうど隠れられそうな場所を見つけて順番に仮眠をとっていた
アンドロイドのKASTLEは寝る必要がないからいいが、他の4人はだいぶ疲れてきていたためだ
まだSHIONとACEは寝ているらしい
「ん?何かあったの?」
「いや、何でもない・・・ちょっとパイオニア2に戻らせてもらってもいいかな?」
「お見舞いですか?いってらっしゃい」
扉の近くにいたKASTLEが言う
「おう、すぐ帰ってくるよ」
そういって消えていった
17話完