PHANTASY OF POEMS 3話

4人を乗せたフライヤーが草原の入り口付近に降り立つ
「あれ、もう着いたのか?」
「ううん、二人の能力テストも兼ねてレリクスまで歩いていくことにしたの」
「なるほど」
簡単な会話を交わし、草原へと向かっていく

「ほい、一丁あがり。そっちはどうだ?」
両手にセイバーを持つ、ツインセイバーで敵を一掃したゾンがアルの方を見る
「はっ!・・・今ちょうど終わったよ」
ヴァーラが倒れたのを確認してアルがこちらを向く
ツインダガーを装備している
「ね、ミリア?ぜんぜん大丈夫そうじゃん」
「うん・・・ボクの想像以上だったよ。二人ともすごい!」
後ろで見ていたナティルとミリアが感心したように話す
ナティルはライフル、ミリアはロングボウをそれぞれ持っている
「だろー?これでも俺はガーディアンズ学校主席卒業だからな!」
少々自慢げに話す
「おっと?その主席は「単独」ではないだろう?」
突然ゾンたちの後ろから声がする
「おう。「同率主席」だったな、ジェイ」
ジェイと呼ばれたのはヒューマンの男性
長髪で、どこのメーカーかはわからないが上下黒の長袖、長ズボン。彼の隣には小さな女性が立っている
「ふん。女ばかり連れて、楽しいか?」
「お前にはわからんだろーよ。そんなこというお前こそ、そのちっこいのは誰だ?」
ナティルがそこでゾンに耳打ちする
「あの人、知り合い?」
「ああ、ジェイ・ツァイベル。俺と同期で主席を分け合ったんだ」
「え・・・ちょっと待って。それならこの時期はまだ教官と一緒のはずなんだけど・・・」
「ん、あのちっこいのがそうじゃないのか?」
「ううん、あれはパートナーマシナリーの最終進化形のひとつ。GH−420だよ」
「あ、あんなのに進化するのか・・・あの丸っこいのが?」
「そうだよ。私のもGH−440っていう、あれとはちょっと違うけど、同じ人型に進化してるもん」
ゾンがその女性のほうを見る。クローを装備しているようだ
「(どこからどうみても普通の人に見えるけどな・・・背はかなり小さいけど)」
「話は終わったのか?」
「おう。ところでお前、教官はどうしたんだ?そのちっこいのは違うんだろ?」
「教官はついていない。その代わりがこいつだからな」
「ほう、なるほど。それじゃーよ・・・出会っちまったらやるっきゃしゃーねえよな」
「うむ」
ゾンがいきなりジェイに斬りかかる
それを紙一重でかわし、素早く持っていたソードからナックルに持ち替える
「お前ら!手出しは無用だからな」
「桜(SAKRA)、下がっていろ」
今度はジェイがパンチを繰り出す
それを剣をクロスさせ受け止める
「・・・本気を出す気はないのか?」
「ここじゃ場所が悪い」
「あの女たちか?」
「あいつらは余計な心配ばかりするからな」
ジェイが後ろへ大きくステップして間合いを取る
「そういうことなら、今回は引き分けだな」
「わかった。続きはまた今度だ」
「桜、行くぞ」
ジェイは草原のほうとは逆方向に歩いていった

「あいつも俺が本気にならないとわかるとすぐいなくなっちまうな・・・」
「というと、今まで本気出して戦ってなかったの?」
「ああ。俺が本気を出すときはあいつと戦うときと、仲間が危なくなったときだけだ」
ゾンがジェイの歩いていったほうを見ながら言う
「だれかれ構わず100%の力を出してたら俺は体力が続かないからな」
そう苦笑いを浮かべる
「さぁさぁ、とっととレリクスとやらに行こうぜ!早くしないと日が暮れちまう」
そういって歩き出すゾンをまたナティルが慌てて止める
「ま、待って待って!そっちは来た道だよ!」
「だぁーっ!同じような景色だからさっぱりわからん!」
頭を抱えて叫ぶゾンを見ながらアルとミリアが
「ゾンの方向音痴、前より悪くなってない・・・?」
「あれは方向音痴というか根本的に頭が悪いだけじゃ・・・」
「くぉらミリア!聞こえてるぞ!」
「ふぇっ!?な、何のことかなぁー・・・い、急がないと!」
ミリアが逃げるようにして走っていった
「このやろぉ待ちやがれ!」
それを追いかけるゾン。今度は道は間違っていない
「ゾンの地獄耳も前よりパワーアップしてる・・・」
ものすごいスピードで走っていった二人を追いかけるアルとナティルであった

3話完

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