PHANTASY OF POEMS 7話

私は3年前、両親と一緒にこの惑星パルムへ移住した。

父親がGRM本社への転勤が決まったから・・・理由はそんなとこ

「本社への転勤ってことは簡単に言っちゃえば昇格人事だから、当時はすごく喜んだよ。
 あの事件が起こるまでは・・・」
ゾンは何も言わず、ただただその話を聞くばかり
「事件はちょうど3年前の今日。ちょうど今みたいに綺麗な満月の出てる日だった・・・」

突然家に押し入ってきたローグス数名。服にはまるで血のような赤い星のマークがついている

彼らの目的は父親の開発していたキャストの素体パーツ

私を人質に取りその設計図を要求した

父は抵抗するはずも無く、設計図を渡してしまった

すると突然、ローグスの一人が無抵抗の父に銃を向けて






一回、パンという音が部屋中に響き渡った

泣き叫ぶ私。お父さん!お父さん!!






無論、父から返ってくる言葉は無かった






そして今度は、母にまで銃を向け

さっきと同じ、無情な発砲音が部屋を包む






私はもう既に、泣き叫ぶ気力すら削がれていた

ただただ、拘束された体でそこに広がる無惨な光景を自分の目に焼き付けるだけだった






「ここまではゾンも何処かで聞いたと思う。公に発表されてる事件だから・・・」
「ああ、ウェンディ一家惨殺事件・・・多分これだろう」
ゾンも気づいてはいたらしいのだが、あえて言わなかったのだ
「でも、事件の真相はまだこれで6割くらい。あとの4割・・・それが、私の身体のこと」

手も足も全く動かない、拘束された状態の中

私はもう一体何をされたか覚えてすらいなかった

監禁されている場所もわからない。恐怖だけが頭を支配していた

怖い・・・助けて・・・

また暗闇の中から男が一人、私に近づいてきた

もう相手を罵倒したところでされることはわかっている。でも口に出さずはいられなかった

人殺し!すぐに拘束を外せ!

その刹那、左頬に強い衝撃を感じる。思わず悲鳴をあげた

震える私の身体をもてあそぶ男

ふと、男が右手に何かを持っていることに気づく

注射器だ。それもかなり大きい

必死で声を上げ、身体を動かし嫌がる

しかし、抵抗むなしくその注射器は深々と私の腕に刺さった

激しい痛みにうめくような声をあげ

そして、次第に意識が遠のいていった






私が意識を取り戻したのは沢山の人に囲まれた中でだった

幼馴染みのナティルが真っ先に私に抱きついてきた事だけは覚えている

でも、私はそれまでのショックで1ヶ月何も言葉を話すことができなかった






その時すでに、私はヒューマンの姿ではなかった






7話完

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