PHANTASY OF POEMS 12話

ガーディアンズ・コロニーのある区画に存在するガーディアンズ宿舎。
基本的に全てのガーディアンズは此処に、パートナー・マシナリーと共に住んでいる
 「よし、ついたぞ。大丈夫か?」
 「うー、ばたんきゅー・・・」
ナティルは自室についた途端、ベッドに倒れこんでしまった。
此処まで帰ってくる間に熱は相当上がり、呼吸も乱れ始めた
こういった体調の異常に対しては、普通パートナー・マシナリーが常備している薬を使用する事になっているのだが
 「こ、この間好奇心に負けて分解しようとして・・・本部に取り上げられたばかり・・・」
頭を抱えるゾンであった。
 「それなら仕方ないな・・・熱が引くまで安静にしてろ」
 「はうう・・・」
気持ち涙目になって布団にもぐりこむナティル
 「そうそう。普段うるさい分こういう時位しおらしくしてるんだな」
いつもなら『うるさい』の単語に食って掛かる彼女だが、今は紅潮した顔を逸らすだけだった。






1時間後、ナティルが5分間隔ほどで苦しそうに唸りだす。
ゾンも濡らしたタオルを彼女の額に載せる等懸命に看病する






2時間後、まだ咳き込んだりはするものの大分容態が安定してくる
といっても、まだ会話できるほどではなさそうだ






そして3時間後、ゾンの意識は無かった。
 「ゾン・・・?」
完全に熱が引いたわけではないが、それでも話ができるくらいまで回復していた
 「おーい・・・。寝てるのかぁ・・・」
ゾンの方を見ると、ベッドに顔だけうずめて床に座り込んで寝てしまっていた
 「クス、こういうトコはまだ子供っぽくて可愛いんだねぇ」
ゾンに毛布を1枚掛けてやると、彼女もまた眠りについた――




はずだったのだが

 「あ、あああーーーっ!」
 「うわ、な、なんだ!」
まるで何かとても大事な事を忘れていたような叫び声を上げたナティル
その声で寝ていたゾンも飛び起きた
 「あ、明日モトゥブで研修だったんだよぉ・・・この体じゃとても行けない・・・」
 「それなら、取りやめにすれば良いだけなんじゃ」
 「ダメだよぉ。もう結構前から研修メニューとして残してもらってあるんだから、今更取り消したりなんか・・・」
少々考え込むナティルだが、一つの結論を導き出した。
 「仕方ないから、誰か別の人に一緒に行ってもらうかも知れない。ゴメン」
 「まぁ、その体で無理やり行かせるわけにもいかないからな。仕方ないさ
  そういうことなら今日は帰る。起こしてもらった事だしな」
ケラケラと笑いながら部屋を出ようとした時
 「ちょ、ちょっと待って」
 「なんだ?」
 「あ、ありがと・・・ずっと看病してくれて・・・」
少々口ごもりながらぽつりと言うナティルに
 「きーにすんなーって。大事な教官が風邪でダウンなんてみっともないぜ。早く治せよ」
後ろを向いたまま、手を振って部屋を後にした。

12話完

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