PHANTASY OF POEMS 24話

惑星ニューデイズに降り立ったゾン。
その目には、何か焦りのようなものが見え隠れしている。
 「計算からして、今日だ・・・」
小さくつぶやいた後、街の中を駆け抜けていく。

ゾンが足を止めたのは、ニューデイズの中でもかなり大規模な医療施設。
ミリアが検査入院しており、アルも通院している。
今日は、二人ともがこの施設内にいる日なのだ。
ミリアの病室に入ると、丁度よくアルも一緒にいた。
 「ゾン・・・きてくれたんだ」
二人の前に立ったゾンは、突如
 「お前ら、今すぐここを出るぞ」
などと切り出したのだから二人とも唖然とするのは言うまでも無い。
 「な、なにをいきなり・・・」
 「話なんぞしてる暇が無いんだ。あと2〜3時間で大量のSEEDがここに落ちてくる
  恐らく、やつらもやってくるに違いない・・・とにかく、時間が無い」
大量のSEEDという言葉にも驚いたが
何より、ゾンがここまで焦っている事に、それが狂言でないことを物語っていた。

アル、ミリアとも特別に外出する許可を得て、ゾンと施設の外に出る。
そんな3人の前に、不敵な笑みを浮かべる女性が一人。
 「ふふ・・・そろそろよ。まずは、この星から”初期化”させて頂くことにするわ
  他の星へ逃げられないように、惑星間移動用のフライヤーは全て運行できないようにしておいたわ」
リベルグが、珍しく目の前に現れて、そう宣言した。
 「時が満ちたら、また貴方たちの前に現れるわ。それまでは、生きてて頂戴ね」
背中から翼のようなモノが展開したかと思うと、リベルグの体が浮き上がり、そのまま飛び立ってしまった。
 「ゾン・・・」
不安がったアルが問いかけようとするが
 「詳しい話は、俺たちが明日まで生きていたら、ゆっくりしようぜ」
そのまま、歩き出した。






平穏な街に、星に

滅びの種が降り注いだのは

それから、すぐのことだった。





まさに、雨のように降るSEED

建物は破壊され、赤く染まる大地

世界が地獄の業火に埋め尽くされていく。

逃げ惑う人々――しかし、逃げる場所など何処にもない。

さながら地獄絵図のような世界が、そこには広がっていた。




24話完

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