PHANTASY OF POEMS 26話

普段は水と木にあふれ、緑や青が大地を支配するシコン諸島だが
今日は、焼け付くような赤が全てを支配していた。
燃える大地に、あの美しいニューデイズの姿は、もう何処にも見当たらない。


狭い洞窟を抜け、広い平原のようなところにゾンたちが現れる。
まだSEEDの落着はしていないらしい――地面は赤いが独特の『花』は見えない。
 「あと、2時間だ」
レイスの声――『本隊』が到着するまでの時間だ。
 「それじゃ、そろそろお出ましになるだろうな・・・」
ニヤリと笑うゾン。
その笑みには、確信じみたものがあった

刹那、ゾンの正面から一発の銃弾が飛び出してくる――

しかし、避けようなどという気持ちは毛頭ないのか、弾に向かって右手を出し
――そのまま掴んだ。
まるで「ほらな」とでも言いたげな、平然な顔。
手の中で眩い光を放つそれは、次第に光を失い、小さな鉄の塊になってしまった。
その光景はまさしく、フォトンを吸収してしまったかのようである。
 「出てこいよ。せっかくこっちからきてやったのに」
シコン諸島独特の、曲がりくねった木の幹や根の間に、いくつか人の影が見える。
ゾンから見て右手に風舞、左手にレヴィン、背後にアルテイル
そして、正面にはリベルグ。
ローグス、ブラッディ・スターの幹部たちだ。
 「一人足りないな。風邪でお休みか?」
 「ふふ・・・さあねえ。どこかでへばっちゃってるのかもしれないわ
  そちらこそ、一人見知った顔がいないようだけど?」
軽く鼻で笑った後、それを合図にしたかのようにローグスの面々が武器を構えだす。
ガーディアンズたちも、応戦の用意はできている――
むしろ、先手を仕掛けたのはこちらだった
はじめから計画されていたかのように、アルはレヴィンに、ミリアは風舞に、ジリーはアルテイルに
そして、ゾンはリベルグに向かってそれぞれが走り出した。
これにはローグス側も慌てた。ある程度の距離を置くべくバラバラに散っていった。
 「『本隊』の方は任せたぜ!」
ゾンはそう言い残して、リベルグの逃げていった方向へ走り出した。
残ったレイス、キャティ、レインが、『本隊』の除去にあたるべく待機
 「あと1時間半だ・・・」

終焉の宴まで、残された時間はわずか。


26話完

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